• 忙しいときも、うまくいかないときも、自分を支えてくれるのは自分自身。文筆家・安達茉莉子さんの「自分にとっての幸せ」を見つめ直し、しなやかな軸の獲得を目指す生活改善運動のお話を、マンガとともに紹介します。
    (『天然生活』2024年3月号掲載)

    安達茉莉子さんが実践する「生活改善運動」

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    画像: 安達茉莉子さんが実践する「生活改善運動」

    生活が少しずつ明るくなると、見える世界が徐々に変わる

    文筆家の安達茉莉子さんが実践する生活改善運動とは、自分が幸せと思うほうへ生活を改めていくこと。

    住む家、洋服や家具、タオルやお茶、仕事の仕方や人づきあいに至るまで、さまざまな面において「なんとなく」や世間の評価で判断せず、自分にとっての喜びを探っていく運動です。

    「私はずっと、自分が何に幸せを感じるかなんて考えたこともなく、とにかく必死に働き、大して好きじゃないものと暮らしていました。食も含めて生活全般にコンプレックスがあって、とくに片づけが苦手で。自分は人より劣っているという気持ちが拭えなかったんです」

    そんな安達さん、「自分の心地よさを大切にする」「人は豊かに暮らさねばならない」という友人たちの考えに触れ、ハッとしたそう。

    「彼らには自分を愛し、大事に扱うことが当たり前に根づいていて、それにも驚かされました。このときは自分を愛する方法がわからなかったけれど、自分にとっての幸せを考えることはできると、少しずつ生活を変えていきました」

    やがて「毎日褒めそやしたくなる」街と部屋に出合い、身のまわりの取捨選択を重ねるうち、心地よさを感じる瞬間が増えていった安達さん。自分を満たすものを自然に選び幸せを享受できるように。

    「朝起きて目にした窓からの眺めが最高に気持ちよかったり、料理が楽しくなる器を手に入れたり。生活がひとつずつ明るくなると、見える世界が徐々に変わります。その喜びに味をしめて、違和感から距離を置き、快適でいられる状況をできる範囲で整えています」

    心のひび割れを放置しない

    環境に手を入れて自分をいやしていく。それが生活改善運動のよさと安達さんはいいます。一方で、ただ単に「自分の好き」をそろえれば、満たされて幸せになれるかというと、そうではないとも。

    「私もそうでしたが、苦しい境遇を人のせいにしてしまったり、虚無感を抱えてしまうことはだれしもあるはずです。そうした心のひび割れを放置しないで、内面を洗う作業が必要だと思うんです」

    安達さんはもの選びや環境整備を通して、「自分の手で自分を豊かに幸せにできる」という実感を得たことが何より大きかったそう。

    「結果として、いまではちょっと図々しいほど自分を肯定できています(笑)。自分が満たされていると人にもやさしくできる。心から安らげるいい循環に身を置けるようになりました」



    〈監修・マンガ・撮影/安達茉莉子 取材・文/熊坂麻美〉

    画像: 心のひび割れを放置しない

    安達茉莉子(あだち・まりこ)
    作家、文筆家。著書に『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)、『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)など。『書きあぐねて山河あり』(集英社『すばる』)などを連載中。
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    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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