天然生活 最新号

実家のリノベーションは、物件購入費が不要なうえ、愛着のある建具や家具を活かして思い出を受け継げる点が魅力です。親族が大切にしてきた住まいを引き継ぐことで家族の絆が深まり、空き家防止にもつながるという社会的意義もあります。今回は、リノベーション専門誌「relife+」特別編集『50代からのリノベ』より、実家のリノベ実例をご紹介します。
(『50代からのリノベ』より)

将来の暮らしを見据えて、夫の実家を大胆リノベ

※築年数、工事費、ご家族の年齢は取材時のまま掲載しています

東京都杉並区
Yさんの家(夫64歳 妻61歳)

工事費:約3900万円(税・設計料込み) 
築年数:31年(1993年築)
施工面積:約140㎡(1階67.3㎡、2階72.7㎡)
設計・施工:スタイル工房

Yさん夫妻がリノベーションして暮らすのは、都内にある夫の実家。

夫の転勤で栃木に住んでいましたが、大学進学で上京した子どもが夫の母と暮らしたこともある思い出深い家です。

数年前、夫は実家を相続。栃木に建てた家を売却し、実家を住み継ぐことを決めました。

「夫の大切な実家ですし、3人の子どもはそれぞれ独立して都内にいる。私たちが近くにいれば訪ねやすいかなという思いもありました」と妻。

実家の敷地は日当たりがあまりよくなく、既存は中2階を玄関とし、そこから半階上の2階が日照を取れるLDK、1階が居室と水回りという間取り。

「階段の昇降が多く、道路から玄関に上がるのも負担になってきていて。1階はとにかく寒くて暗いのが悩みでした」と夫妻は振り返ります。

そうした困りごとをできる範囲で解決したいと、設備や窓の交換、簡単な間取り変更程度のリフォームを検討した夫妻。

一方リノベの相談を受けたスタイル工房からは、より将来を見据えた提案があったそう。

具体的にLDKを1階にし、2階の1室を吹き抜けに変えて階下を明るく。玄関は1階に移動して出入りをラクにするというプラン。

「1階で生活が完結できる可変性も考えてくれて。予算はオーバーしましたが、私たちの将来を本質的にとらえた提案に納得がいき、お願いすることにしました」(夫)。

夫婦ふたり暮らしなので、2階の1室をなくしても広々。

減築するのもアリかなと思っていたので、吹き抜けにしても余裕があり、採光も取れて満足です」と夫。

1階は、将来的にベッドを置けるスペースもあるので安心。

さらにキッチンの裏にパントリーや水回り、玄関を結ぶ回遊動線もでき、家事もしやすくなったと喜ぶ妻です。

FLOOR PLAN

画像: FLOOR PLAN

既存は中2階に玄関があり、日照の関係で2階にLDK、1階に水回りと居室という間取り。リノベで1階に玄関とLDK、水回りを配置。2階の1室を減らして大きな吹き抜けをつくり、1階に光を届けるプランとした。

Yさん家のリノベーション実例

リビング

画像1: リビング

2階の1室を減らして、大きな吹き抜けを実現。

新旧の梁や吹き抜けを囲む手すりなどの木材が、温もりを感じさせる。既存の和室をつなげてつくったリビングは、ゆったり広々。

「今は2階に寝室がありますが、将来は1階だけでも暮らしが完結できるようにというプランナーからの提案を採用しました」(夫)

画像: Outside

Outside

以前は中2階にあった玄関を1階に。断熱性が高く、落ち着いたデザインの玄関ドアを採用した。

画像2: リビング

リビングの一角を占める薪ストーブは、長年暮らした栃木の家からの愛用品。

「薪ストーブの空間を包み込むような暖かさは、ほかにない魅力。これを引き続き使いたくて、いわば薪ストーブ前提のリビングでした(笑)」と夫。

ストーブはオーブン機能も備え、寒い季節の日常に大活躍。炉台と遮熱壁の深い色みが空間のフォーカルポイントになっている。

Data
建物規模:木造軸組工法2階建て 
設計期間:2021年2月~4月 工事期間:2021年6月~11月 
設計・施工:スタイル工房

Material
床:オーク三層フローリング、コルクタイル 
壁:珪藻土、クロス 天井:クロス

Instruments
キッチン/TOTO
サニタリー/ユニットバス、トイレ:TOTO 
洗面ボウル、水栓:CERA 手面ボウル、水栓:カクダイ

Renovation Company

画像: チーフプランナー/鈴木ゆり子さん

チーフプランナー/鈴木ゆり子さん

デザイン スタイル工房

上質な自然素材を取り込み、年月を経ても快適に暮らせるリノベーションを目指す設計・施工会社。価格と工期のバランスを図りながら、環境を大切に考えたエコな家づくりに定評が。物件探しからのワンストップサービスや資金計画の相談も対応OK。南青山、横浜にも支店がある。

住所:東京都杉並区成田西3-2-4 K&3ビル1F
https://www.stylekoubou.com/



<撮影/koji yamada 文/atsuko tanaka>

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リノベーション専門誌『relife+(リライフプラス)』が提案する、50代からの豊かな住まいづくりのヒント

「頭も体も元気なうちにリノベしてよかった」
決めなければならないことが多く、迷い悩んで、調べ考えて、決断して、を繰り返すリノベーションを経験した方の多くが、そう口にします。

体力や気力の衰えを感じるだけでなくいままで好きだったものがそうでもなくなったり、その逆だったり。50代からは心と体の変化に戸惑いを感じ始める時期でもあります。

この先の人生をより豊かに、快適に過ごすための心と体のより所となる住まいづくりのヒントが詰まった1冊です。

物件購入のための費用や時間が不要で、改善したいポイントが明確なため、満足度の高いリノベを実現しやすいのが大きなメリット。魅力的な既存を生かして新旧をうまく馴染ませる工夫や、これからの暮らしへの備えなどもぜひ参考に。

※築年数、工事費、ご家族の年齢は取材時のまま掲載しています



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