(『天然生活』2024年3月号掲載)
“目”にいいことをすると“脳”も活性化し、いきいきと生きられる
「老眼や疲れ目の元凶は加齢ではなく酸素不足です」
そう語るのは、目や体の不調を診る整体院の今野清志院長です。
「目は毛様体という筋肉が収縮と弛緩を繰り返してピントを合わせますが、1日中働くだけに大量の酸素を必要とします。しかし現代人の生活は酸素が不足しがちなうえ、心臓や脳に優先的に供給されるため目は慢性的な酸欠に。すると毛様体が弾力を失い、ピント調整機能が衰えて視力低下や老眼を招くのです」
酸欠は、窓を閉め切った室内環境や長時間の座位による気道の圧迫も原因になりますが、とくに深刻なのが胃腸の硬化です。
「胃腸が硬いと肺が十分にふくらまず、腸のぜん動運動が正常に行われなくなり、自律神経のバランスが乱れて血流障害を引き起こし目に酸素が行き届かなくなります」
目の不調を改善するには、呼吸を深め、適度に体を動かして栄養を十分に摂ることが大切です。
目だけでなく、体全体の調子を整える意識で生活を見直しましょう。
「習慣を変えただけで目は治らないと思うかもしれませんが、不調と好調、病気と元気は紙一重の差。ささいな習慣の見直しで、目のトラブルは少しずつ緩和していきます。目がよくなれば、脳の視中枢が活性化されて意欲が高まり、気分も明るくなりますよ」
目と脳をいやすための3カ条
①十分な呼吸
②適度な運動
③適切な食事
目と脳をいやす「十分な呼吸」のための3つの習慣
目と脳をいやす「十分な呼吸」の習慣1
目が覚めたら、まず寝室の窓を開ける

窓を閉めて暖房を使う冬の寝室は、湿度が下がりやすく酸素も不足しがち。就寝中に体に取り込む酸素が足りていなかった可能性があります。朝起きたらまず寝室の窓を開け、新鮮な外気をたっぷり吸い込んで酸素を補給しましょう。
朝5時~10時くらいの間は、細胞を活性化して自律神経の働きを高めてくれるマイナスイオンが空気中に豊富に含まれます。部屋中を換気して、なるべく深い呼吸を意識しながら朝の支度をすることで血流が上がり、頭が冴えてきます。
また、空気が乾燥していると酸素の量が減ってしまうため、室内は加湿器を使って60%くらいの湿度を保つことも大切です。
目と脳をいやす「十分な呼吸」の習慣2
背筋を伸ばすことを意識する

正しい姿勢で気道が開いた状態であれば、1回の呼吸でおよそ450~500㏄の空気を吸い込むことができます。
ところが、うつむいてパソコンやスマホを見たりして気道が狭まると、吸い込む空気の量が100㏄ほどに。そうなると、酸素は心臓や脳などの生命活動に関わる部分に優先して送られるので、目には十分な量が届きません。
背中を丸めて長い時間座ることで横隔膜が内臓を圧迫し、血液循環を妨げるという悪影響もあります。
デスクワークや書きものをするときは背筋を伸ばし、顔が長時間下向きにならないように、こまめに立ち上がりましょう。
立っているときも顔を上げて肩を開き、よい姿勢を心がけることで呼吸がしやすくなります。
目と脳をいやす「十分な呼吸」の習慣3
1日10回、深呼吸をする

私たちは1日約2万回の呼吸を行っていますが、そのほとんどが浅い呼吸です。気づいたら何度でも深呼吸をして酸素不足を解消しましょう。
鼻から吸って口から吐くのが基本です。鼻から吸えばほこりやウイルスが鼻毛に付着して喉を炎症から守り、鼻腔内の水分により肺に取り込む空気を加湿できます。
深呼吸は、最初に肺の中の空気をすべて吐ききることがポイント。そして自然に入ってくる空気で肺を膨らませるイメージで吸い込みます。
次に吐くときに6秒以上かけることで呼吸筋が鍛えられ、無意識下の呼吸も徐々に深まります。副交感神経が活発になり、眼筋をゆるめる効果も。まずは1日10回を目標に、どんどん回数を増やしていきましょう。
〈監修/今野清志 イラスト/もとき理川 取材・文/熊坂麻美〉
今野清志(こんの・せいし)
中医学をベースにした手技療法で目と耳をいやす施術院「日本リバース」院長。薬を使わず、人間が持つ治癒力を呼び覚ます治療法の確立をライフワークとし、テレビやラジオなどメディア出演も多い。著書に『いつでもどこでも目がよくなる小さな習慣』(だいわ文庫)、『自律神経は1分で整う!』(自由国民社)などがある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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