(『天然生活』2021年1月号掲載)
困難を受け入れ、希望を与えてくれる言葉たち
長年、絵本の編集者としてたくさんの言葉と深くかかわりを持ってきた末盛千枝子さん。
大切にしている言葉は、人生の困難な局面を支えてくれたものです。
ラジオで聞いた言葉
幸せとは、自分に与えられた運命を受け入れること
「長男が25歳のとき、スポーツの最中に大怪我をして下半身がまったく動かなくなってしまいました。
入院してリハビリをしていたので、見舞いの帰りに病院から自宅へと車を走らせているとき、放送大学のラジオで聞いた言葉です」
東京大学で哲学を教えていた渡邊二郎さんが話していたという言葉。
路肩に車を停めてメモを取り、後日、放送大学のテキストを取り寄せ、ニーチェの言葉だと知ったのだといいます。
「いまでも、このときのことをよく覚えています。
そういうことなのか……と衝撃を受けましたし、本当に勇気をもらった言葉です」
自分の胸に届いた言葉
まだまだ困難はあるだろう。
でも、そのたびにそれを乗り越える力が与えられるだろう
また、もうひとつは、最初の夫を亡くした際の言葉だそう。
「小学1年生と3年生の息子ふたりを抱えて、ただただ茫然としているときでした。
お通夜の帰り道に自分の胸の中に聞こえてきました。
いまもずっと、この言葉を大切に生きています」
〈取材・文/結城歩〉

末盛千枝子(すえもり・ちえこ)
「すえもりブックス」を設立し美しい本を多数送り出す。2010年に岩手県八幡平市に移住。「3.11絵本プロジェクトいわて」代表。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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