家族に思いを上手に伝えるコツ。「ほめ言葉」はカジュアルに
ほめられてうれしいところに、伸びしろがある
子どものころにほめられた経験の影響力について、書いてみたいと思います。
今は子育ても教育も、「ほめて伸ばす」が良しとされていますが、自分自身の実感と、わが子の観察から、とにかくなんでもほめればいいわけではなく、「ほめられてうれしいところにその人の伸びしろがある」ような気がしています。
たとえば、なんとか子どもの成績を上げたいという思いから、本人が苦手意識を持っている科目のテストが前回から何点上がったね、と言葉をかけながらほめたとして、それだけで苦手が得意に変わるほど、単純な話ではないように思うのです。
もちろん、点数が上がったことも、がんばりを認めてもらえたこともうれしいけれど、嫌いが好きにひっくり返るほどの効果はない気がする。いくらほめられても、苦手なものは苦手のままでしょう。
それより、ほめる側が心から感心して、下心なしに、思わず口に出してしまったような実感のこもった言葉ほど、かけられた側には大きな自信を与える気がします。
それも、なんとなく自分でもそう思っていたけれど、堂々と胸を張れるほどではなかった部分に、他人が着目して、価値を認めてくれたとき、その喜びは運命的なきっかけとなり得るのではないでしょうか。
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note、Voicy、インスタグラムで人気のエッセイストが綴る、人間関係をスムーズにする気持ちの伝え方
仕事、子育て、夫婦、SNS……。私たちは日々の暮らしのあらゆるシーンで、相手に自分の意見や気持ちを伝えています。しかし、「自分は伝えるのが上手だ」と言える人はあまりいないのではないでしょうか。
数多くの暮らしにまつわる著作があり、note、Voicy、インスタグラムなどでも女性を中心に熱い支持を得ているエッセイストの著者が、これまでの半生を経て身につけてきた伝え方のコツを1冊にまとめました。読めば、自分も相手も気持ちよく暮らすための処方箋になることでしょう。
小川奈緒(おがわなお)
エッセイスト。1972年生まれ、千葉県出身。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業後、出版社勤務を経て、2001年よりフリーランスに。ファッション誌のエディター&ライターとして活動したのち、現在は著作やnoteをメインに執筆を行っている。また、音声プラットフォームVoicyで「家が好きになるラジオ」のパーソナリティーを務めるほか、イベントやワークショップ、講演など幅広く活動中。
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