モヤッとする、マイナスの言葉は使わない
たとえば、世間でよく使われる「SNSのキラキラ」という表現に対して、気軽に言っている人に悪気はないことは知りつつも、一瞬モヤッとしてしまう自分に、あるとき気づきました。
SNSで輝いているインフルエンサーを見ては「わたしなんて」と自信をなくす人を慰めようと、「SNSのキラキラなんてつくり物なんだから、それを見て落ち込む必要なんてないんだよ」といった文脈で使われているのを見ると、実際にキラキラ輝いているインフルエンサー本人が謙遜して言うのは気にならないのに、「舞台裏の努力を知らない他人がそれを言うのはいかがなものか」と思ってしまうのです。
誰かを慰めるために、まったく関係ない誰かのがんばりを揶揄する必要なんてない。誰かが活躍して輝いていることと、別の誰かが低迷していることは無関係なのだから、というのが、わたしの言い分です。
輝いている人には素直に憧れや尊敬を持つ。がんばっている人は素直に応援する。それができなくて、視界に入るたびになんとなく心がざわつき、つい皮肉っぽい一言でも言いたくなるのだとしたら、そのマインドは健康的とはいえないでしょう。
棘のある言葉の波動で、同じようなマイナスのコンディションの人を引き寄せてしまうことにもつながります。
言葉は、よくも悪くも大きな力を持っている。そのことを、音声配信を始めてからはとくに強く感じています。せっかくならその力をいい方向に使って、価値観の合う人たちを引き寄せながら、みんなでしあわせになりたいと思うのです。

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note、Voicy、インスタグラムで人気のエッセイストが綴る、人間関係をスムーズにする気持ちの伝え方
仕事、子育て、夫婦、SNS……。私たちは日々の暮らしのあらゆるシーンで、相手に自分の意見や気持ちを伝えています。しかし、「自分は伝えるのが上手だ」と言える人はあまりいないのではないでしょうか。
数多くの暮らしにまつわる著作があり、note、Voicy、インスタグラムなどでも女性を中心に熱い支持を得ているエッセイストの著者が、これまでの半生を経て身につけてきた伝え方のコツを1冊にまとめました。読めば、自分も相手も気持ちよく暮らすための処方箋になることでしょう。
小川奈緒(おがわなお)
エッセイスト。1972年生まれ、千葉県出身。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業後、出版社勤務を経て、2001年よりフリーランスに。ファッション誌のエディター&ライターとして活動したのち、現在は著作やnoteをメインに執筆を行っている。また、音声プラットフォームVoicyで「家が好きになるラジオ」のパーソナリティーを務めるほか、イベントやワークショップ、講演など幅広く活動中。
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