昭和9年創業の和洋菓子店「キクノヤ」。和菓子職人の“2代目小林恒一さん、洋菓子職人の“3代目”真治さん。そして孫の知史(ちふみ)さんが“4代目”として、新たな視点で店を継承する挑戦に取り組んでいます。デザイナーから菓子職人への道を進むことを決意した知史さんと、それを見守る祖父と父。受け継ぐ想いと、家族の絆を紹介します。
(『天然生活』2021年4月号掲載)
(『天然生活』2021年4月号掲載)
キクノヤのお菓子づくり

洋菓子は3代目の真治さんひとりが、仕込みから仕上げまで担当。店舗に併設した洋菓子の工房で、早朝から数々のケーキや焼き菓子がつくられる

スポンジケーキの焼き上がり。真治さんが修業時代に会得したというそのなめらかな味わいは、“しとりスポンジ”と名づけられ、キクノヤ名物に

長年、愛用しているケーキ型から次々とはずされるスポンジケーキ。この日焼いていたのは、コーヒー風味。ふんわりと甘い香りが、工房全体を包む

80歳を過ぎたいまも、朝早くから工房に立つ2代目の恒一さん。和菓子に使うあんこは、用途に応じて炊き方を分け、味わいに変化をつけている

長年の勘で、思い通りの色合い、形に仕上げていく。「知史はデザインをやっているだけあって、私より色彩の感覚が鋭いです。期待がもてますね」

この日つくっていた練り切りは、上品な甘さの白あんを包んだ「菊」。仕上げにさわやかな緑色の薄いようかんを葉に見立ててのせ、完成

和洋菓子キクノヤ
三重県鈴鹿市若松北1-37-10
https://kikunoya1934.jp/
<撮影/村林千賀子 取材・文/福山雅美>
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです