(『天然生活』2020年9月号掲載)
市販や自作の収納用品を駆使して、道具を取り出しやすくしています
矢野直子さんは、料理はもちろん、おもてなしも大好き。6~7人を招いての食事会を毎月一度は開いています。
「自分なりのおもてなしのペースをつかめたのは、15年ほど前にスウェーデンで3年間暮らしたことが大きいです。向こうの人は本当におもてなし上手。パンとチーズ、にしんの酢漬けなどの簡単な食事に気軽に呼んでくれるのを見て、私も肩の力を抜いて人を招くようになりました」
ふだんの日の食事づくりも、ゆったりと楽しく。
夫婦のどちらかが台所で作業し、もうひとりがすぐそばのワークスペースや、台所に置いている「無印良品」のバケツ型のスツールに座って、会話をしながら料理が進んでいきます。
「夫婦ともにワインが好きなので、飲みながら料理をすることが多いです。そこからすでに食事の時間が始まっている感覚ですね」
料理上手だったという矢野さんの母親。実家の台所のすぐそばには2階へと続く階段があり、子どものころは、毎日のように階段に座って、夕食をつくる母親と会話をしていたといいます。
「料理をしている母に向かってその日の出来事を話したり、学校のテストの結果を見せたりしていました。いま、台所に立ちながら近くにいる夫と会話をする習慣は、そのときの記憶とつながっているのかもしれません」
矢野さんの台所を拝見

1 調理台まわり

よく使う調味料や道具は容器に入れて調理台の取りやすい位置に。
「4~5年ほど前から、外食をするよりも、おいしい食材を手に入れて料理をすることのほうが多くなりました」

背面の戸棚の一画には少しずつ集めてきたレシピ本を並べている。
「参考にしてつくることもよくあります」

来客用のグラスもそろっています
調理台のすぐ上の戸棚にはカップやグラス類を収納。最上段にはジャムの空きびんが。
「最近、夫がよくジャムをつくるので、その保存用です」
<撮影/尾原深水 取材・文/嶌 陽子 イラスト/須山奈津希>
矢野直子(やの・なおこ)
「無印良品」の仕事に携わり、生活雑貨や「Found MUJI」などの企画デザインを手がける。2013年、「良品計画」生活雑貨・企画デザイン担当部長に。退職後は、くらしに関する新たな仕事に。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです