ネパールの「マサラチャイ」に癒されて
もてなしのスパイス

ネパールに暮らしてまず驚いたのが、普段のチャイにほぼスパイスを使わないことだった。
マサラ(ヒンディー語でスパイスミックス)を入れたチャイは、おもてなしをする時に作ることが多く、実は特別で贅沢なものなのだ。
マサラチャイによく使うスパイスは、カルダモン、シナモン、ジンジャー、クローブ、ナツメグ、ブラックペッパーなどなど。その材料や配合は千差万別で、作る人や飲む人の体調、その日の気分によっても変わる。
ネパールの南西に位置する小さな街、タンセン。
その街のゲストハウスのディディ(お姉さん)が作るマサラチャイには、スパイス以外にも庭にワサワサ茂っている「テジパット」と呼ばれるシナモンの葉が惜しみなく加えられていた。まだ青いその葉っぱをちぎって揉んで放り込む――。それが最高のもてなしだ、と彼女は豪快に笑う。
テジパットの甘くてほのかにスパイシーな香りは、どこか懐かしく、限りなく優しく、旅の疲れをそっと癒してくれた。




スパイスを効かせて、暑さに負けない体をつくる
ミミロータス流「マサラチャイ」のつくり方
8種のスパイスをミックスした、「ミミロータス」オリジナルのマサラチャイです。
材料(約2杯分)
● 紅茶の茶葉 | 6~7g |
● 水 | 120mL |
● 牛乳 | 250mL |
● 砂糖 | 小さじ3 |
A | |
・シナモン | 1g |
・カルダモン | 3〜4粒 |
・ブラックペッパー | 小さじ1/2 |
●シナモンリーフ(テジパット) | 1枚 |
※なければシナモンをもうひとつまみ加える | |
●生姜のしぼり汁 | 小さじ1と1/2 |
●マサラパウダー | ふたつまみ |
つくり方
1 手鍋に水と茶葉、細かく潰したA、ちぎったシナモンリーフを入れ1分半〜2分強火にかけ、葉をしっかり開かせる。

2 強火のまま牛乳を入れる。お玉などで空気を含ませながら、沸騰直前までよく混ぜる。2分くらいが目安。

3 吹きこぼれる手前で火を弱め、そのまま弱火で1分半〜2分、混ぜながら煮出していく。茶葉がクツクツ踊るような火加減で。

4 ふたたび強火にし、吹きこぼれる直前で火を止める。ここで少し蒸らすとより濃厚に!

5 カップに砂糖と生姜汁を半量ずつ入れ、4を注いで混ぜる。

memo
ミミロータス流のポイント
★砂糖は素精糖がおすすめ
さとうきびから作られた未精製の砂糖で、クセがなくベタッとした甘さが口に残りません。精製されていないきび砂糖でも。
★牛乳は低温殺菌牛乳で
口あたりが軽やかで、飲み終えた後もさらっとしていてキレのいいチャイが楽しめます。

〈料理・撮影・文/吉池浩美〉
※ 本記事は『旅のち、チャイ』(婦人之友社)からの抜粋です。
※『天然生活』2025年7月号にも、吉池浩美さんのお茶時間の記事を掲載中です。
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紅茶とスパイス、牛乳を煮出し、たっぷりの砂糖を加えるインド式ミルクティー「チャイ」。長野の人気チャイ店「mimiLotus(ミミロータス)」店主のとっておきのチャイや焼き菓子のレシピを、ネパールやインド、東南アジアの旅ノートと共にお届けします。
吉池浩美(よしいけ・ひろみ)
中学時代に、両親の勧めで訪れたネパールでチャイと出合う。自由学園卒業後、神奈川県の「紅茶専門店ディンブラ」で故・磯淵猛に師事。2005年鎌倉に「紅茶専門店ミミロータス」を開き13年間営業した後、閉店。1年間ネパール各地で現地の人々にチャイをふるまう旅をする、現在は長野県東御市でチャイと焼き菓子の店「mimiLotus」を営む。
インスタグラム:@mimi.lotus
