かわいいだけじゃない! 薬草としてのタンポポの魅力
こんにちは。山下智道です。
今回は「タンポポ」のお話をしたいと思います。
一年中花を咲かせるタンポポは、食べられる野草としてはもちろん、薬用としても役立つ植物。
日本全国に自生しているので見つけやすく、形が識別しやすいのも特徴です。

タンポポの花。白いものはシロバナタンポポ
タンポポを食す
花、葉、根、余すことなく食べられるのが、タンポポのすごいところ。
タンポポの花はやわらかく、少し苦味のあるレタスのような味がします。
生で食べられるので、サラダに加えたり、甘酢漬けにしたり。さっと茹でてしゃぶしゃぶにしてもおいしいです。
タンポポの葉は炒めものなどに。海外では普通に野菜として食べられていますが、日本でも最近では、おしゃれなイタリアンやフレンチの店で食材に使われていたりもします。

タンポポの葉は炒めてパスタの具材に
タンポポの根は、炒ってタンポポコーヒーに。
ほろ苦い味わいで、ノンカフェインのコーヒーとして楽しむことができます。
タンポポコーヒー牛乳に、砂糖とバターを入れて煮詰めれば、ほろ苦さが楽しめるキャラメルに。
タンポポの葉や根の部分を使う場合は、花が咲く前に摘むのがおすすめです。

ほろ苦さがアクセント、タンポポのキャラメル
タンポポの効能や使い方について
タンポポは「タラキサシン」という苦味成分を含み、胃の不調を整えたり、炎症を抑えたりする効果があるといわれています。
タンポポの全草を乾燥させて煮出したお茶は、水や老廃物を出す作用があり、むくみ対策などにも。
苦味があるのでシロップにして服用してもよいです。
また、タンポポの根は、ごぼうやキクイモなどと同様に「イヌリン」という成分を含み、糖尿病の予防や改善にもよいともいわれています。
近年では育毛エキスなどの原料に使われることもあり、タンポポをアルコールで浸したチンキでヘアトニックをつくることもできます。

タンポポのチンキ
次回からはタンポポのチンキやヘアトニックのつくり方、パスタやキャラメルのレシピなどをご紹介します。どうぞお楽しみに!
Dandelion
タンポポについて
分類:キク科タンポポ属
別名:ツヅミグサ、チチグサ
学名:Taraxacum officinale
タンポポの学名“Taraxacum”の語源は、アラビア語の「tharakhchakon(苦い草)」であるといわれています。
その名の通り苦みが強く、この苦味成分には「タラキサシン、タラキサステロール、タンニン」などがあります。
花が咲く前に採取し天日乾燥させたものは生薬「蒲公英(ホコウエイ)」となり、健胃・利尿・解毒作用などがあります。
* * *
▼山下智道さん「タンポポ」記事一覧

山下智道(やました・ともみち)
野草研究家。福岡県北九州市出身。登山家の父のもと幼少より大自然と植物に親しみ、野草に関する広範で的確な知識と独創性あふれる実践力で高い評価と知名度を得ている。国内外で多数の植物観察会・ワークショップ・講座を開催。
著書に『ヨモギハンドブック』(文一総合出版) amazonで見る 、『野草がハーブやスパイスに変わるとき』(山と渓谷社) amazonで見る 、『野草と暮らす365日』(山と渓谷社)amazonで見る など多数。
近著に『旅で出会った世界のスパイス・ハーブ図鑑 東・東南アジア編』 amazonで見る がある。
●公式サイト「野草研究家 山下智道」
https://www.tomomichiyamashita.com/
●YouTube:「山下智道のなんでも植物学」
https://www.youtube.com/@tomomichi_yamashita
●Instagram:
@tomomichi0911
https://www.instagram.com/tomomichi0911/
@ocha.0911
https://www.instagram.com/ocha.0911
●X(旧Twitter):@herbtomo0901
https://twitter.com/herbtomo0901
◇ ◇ ◇
『野草がハーブやスパイスに変わるとき』は、野草の活用法について追求した実践的な内容と、美しい写真が詰まった一冊です。自然の恵みを家庭で楽しむための豊富な知識とレシピが満載。