(『天然生活』2024年5月号掲載)
いろんな人の“モヤモヤの可視化”を手伝っている感じ

ライフワークとして、うきはの観光サイト「UKIHA love.jp」にて連載する高木さん。「来ていただくだけじゃなく、その先をちゃんとやりたい」ということで、直売所で並ぶ食材を活用した、四季折々のごはんを提案
さらに40歳前後での入院も“効いた”出来事でした。
「それまでバリバリ元気だったのに、あら? と。子どもたちが中学生、高校生になったタイミングでした。そこから思ったのは、私がいまがんばるべきなのは、この子たちが戻ってきたいと思える故郷をつくることかなと」
そう、当時うきは市は、リアル子育て世代の市議がだれひとりいない、という状況。
「行政の人たちは子育て支援も一生懸命やってくれるんですけど、予算をジャッジメントするのは議会だから。外からいえる人を増やす、という理由もありました」


この日はトマトの種類によってサラダの味がどう変わるのかを検証したり、生パスタを野菜とどう組み合わせると食べやすく、おいしくなるかをあこれこれ試作したり、楽しんでいました
ただ高木さんはけっして「女性だから」や「親だから」という立場を利用したいわけではないといいます。
「高齢化が進んでいて、基本的にはメインが男性で、ご高齢です。そうなると、女性や子ども、中小企業や個人事業主の声は小さくなってしまう。私はその声を議論の場に乗せたい。対立軸になりがちだけど、そうじゃないと思うんです」
議員になってよかったことは? と尋ねると、10〜20代の若い人たちと話をする機会が増えたこととか。

議員として市議会や、委員会、全員協議会、視察などに臨んでいる。写真は市役所内の議員図書室で資料づくりにいそしむ様子
「そのなかに『大学を卒業したらこの町に戻り、山の植物で商品をつくりたい』といってくれる子がいて。話をすることで、頭の中で整理される。いろいろのモヤモヤが可視化されるのを、手伝っている感じです」
これからも議員の仕事を? と尋ねると「いつか子育て、そして議員を卒業したら、みんなが集える『スナックあきこ』をやりたい。そういうノリが好きなんですよね。最後まで悔いのないように生きたい。欲深いんです、私」と笑います。
「こんなふうに、“どうにかなるさ”って思える性格に産んでくれた親に感謝」
Column
お金のこと

きちんとした家計簿はつけていないものの、自身が使った分は、そのつどその場でスケジュール帳にサッとメモをするのが習慣に
議員の収入は「市の非常勤職員だったころに比べるとアップしていますが、多分、民間企業在籍時の手取りが一番多かったかも」
また自分を磨くための支出が増加。
「書籍代は増えましたし、研修や講習会費も。活動費にはなりますが、市民のときにモヤモヤしていたので自腹で。そういうところは律儀なんです(笑)」
<撮影/目野つぐみ 取材・文/山村光春>
高木あきこ(たかき・あきこ)
うきは市議会議員。約20年前に夫の故郷・浮羽町(現・うきは市)に移住。義母、夫、子どもとの三世代同居。2015年3月まで「九州ちくご元気計画」スタッフ、同年7月から2021年3月まで「うきは市男女共同参画センター」所長として活動。2022年にうきは市議に初当選。暮らす人のモヤモヤを解決し、子どもたちが戻りたい町にしたいと活動中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです