
岡本敬子(おかもと・けいこ)
服飾ディレクター
1963年水戸生まれ、東京育ち。文化服装学院スタイリスト科卒業。その後、スタイリストオフィスに入社。1985年には大手アパレルのPR 部門に転職し、国内外のブランドのPRを担当する。1989年6月3日、岡本仁と結婚。2008年頃にアタッシュ・ドゥ・プレスとして独立してからは、様々なブランドのPRをはじめとしたファッション業界で活躍。ブランドやショップとのコラボレーションも行っており、2016 年から、オーガニックコットンのウエアブランドであるnanadecor にて、自身の名前を冠した企画〈KO by nanadecor〉を展開。2024年からは本格的にKOとしてのラインの展開を始める。2017年から、千駄ヶ谷にあるセレクトショップ〈Pili〉のディレクションも手掛ける。座右の銘は「SUN&FUN」。好きな季節は夏。ニックネームはカミさん。
岡本 仁(おかもと・ひとし)
編集者
1954年北海道生まれ。1973年に大学入学を機に上京。卒業後は地元北海道のテレビ局に就職。1980年に再上京し、1982 年にマガジンハウスに転職。「ELLE JAPON」の編集部から編集者としての人生がスタートする。「BRUTUS」「Tarzan」「Gulliver」編集部を経て1998 年には、2000 年代のカルチャーシーンを象徴する雑誌「relax」の編集長に就任。その後も「BRUTUS」「ku:nel」で編集者として活躍する。2009年にマガジンハウスを退社し、ランドスケーププロダクツに所属。2021年に鹿児島県の〈霧島アートの森〉で初の個展「岡本仁が考える 楽しい編集って何だ?」を開催。現在は鹿児島と東京の2 拠点生活にとどまらず、日本全国の様々な都市に訪れ、新しい場づくりや人と人との繫がりの形を考え続けている。ニックネームは熊五郎。
ふたりのもの01
記念日ギフトの定番は「エルメスのスカーフ」

敬子:80年代後半から何か記念日があるたび、熊五郎からギフトしてもらっています。途中何年かはスカーフ気分じゃない時期もありましたが、また再びスカーフ熱が高まり、スカーフギフトも復活。色々な柄を見ると、その時代にあったことや着ていたスタイルなどを思い出したりするのでやっぱり良いなぁと思っています。
そして最近は一緒に見て選ぶことも増えてきて、最新のギフトはいままでにない暖色系のものを一緒に選びました。スカーフをどうやったら上手に巻けるのですか? と聞かれることも多いのですが、これが正解などはありません。肩にかけたり首にささっと巻いて結んだり、お好きに巻いてくださいとしか答えられません。
仁:カミさんの誕生日と結婚記念日に贈るプレゼントは、ほぼいつもエルメスのスカーフだ。いままで贈ったスカーフの数はかなりのものだが、途中で気がついたけれど、これって、自分が欲しいんだよね。でも、自分が巻くわけにはいかないから、カミさんにあげて、 それを巻いているカミさんを見て満足しているというわけだ。
つい最近も、ジェフ・マクフェトリッジがデザインしたものが欲しくて銀座に行った。その時の口実は結婚記念日だった。
ふたりのもの02
それぞれの「スニーカー」

敬子:スニーカーショップを経営している友人が、私のスニーカー選びがすごいと褒めてくれます。
何がすごいのか自分ではわからないけれど、詳しい友人から見て、注目するブランドが早かったり選ぶモデルも良いらしい。私がスニーカーを選ぶ基準は、ブランドのネームバリューよりカラーリングが好みかどうか。
そして、絶対的な軽さ。その基準で選んだ時、いままで選んだことのない「ASICS」に好みのモデルがありました。自分のワードローブにもピッタリなので気に入っていて、他にもモデル違いで何足か持っています。
仁:ぼくは自分のスタイルを変えるのが得意ではない。だから気に入るとそればかりになる。スニーカーもいまはこの「ASAHI TRAINER 3」の黒かグレーしか履いていない。ところが、どうやらすでに廃番になったようで、いまある在庫で終わりらしい。
一応あと一足だけ買い置いたものがあるが、そこからまた新しいものを探さなくてはならないのだ。
本記事は『私のふたり暮らし』(光文社)からの抜粋です
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ふたりで過ごした“あたりまえ”の36年
他人だから、違って当たり前。違うところも面白がりながら、ふたりで過ごしてきた36年。この本では、服飾ディレクター・岡本敬子さんと、編集者・岡本仁さん夫婦のふたり暮らしに密着。ふたりの日常、もの選び、旅のエピソードや写真をたっぷり紹介します。ふたりの出会いから若かりし日の思い出、これからの人生について考えていることなど、読み応えあるインタビューコラムも。好きな人と自由に暮らすということ。その先で、愛っていったいどんな形に落ち着いていくんだろう。そんなことを考えさせられる1冊です。