(『77歳 365日の紡ぎ方: 益子暮らし、元カフェ店主 信田良枝さんの居場所』より)
50歳を過ぎたら、服は“うぬぼれ”で選ぶ
「『お若いですね』と言われて嬉しい? 若いったってねぇ~、たかが知れています。首のシワを隠したり、顔のシミを消したり……。私はそこまでして若く見せたいとは思いません。シワもシミも一生懸命生きてきた証。隠すのはこれまでの人生を否定するようでイヤです。若く見えたって、必ずしも魅力的ってわけじゃないでしょ」
シワやシミは隠すことばかり考えていたので、ドキッとしました。信田さん、続けて言います。
「誰も、人の細部なんて見ていないもの。大切なのは、全体的な雰囲気。シミやシワがあっても、気品があって素敵な人っていますよ」

ジャケットもパンツも自作。軽くて暖かい上質なウールガーゼのジャケットは、春先まで重宝しそう。ブルーを効果的に取り入れて、明るい印象に。
これまで積み重ねてきた経験や知性が自信を生み、風格のある態度やはつらつとした表情になり、その人の雰囲気をつくるそう。
隠すのではなく“私は私”と堂々としていること。人と比較しないこと。他人目線を気にしなくなると、ファッションやメイクはもっと楽しくなると言います。

右がウールガーゼで左がリネン。「50歳を過ぎたら、デザインはシンプルでもいいけれど、生地は上質なものを」

服、小物、着こなし……。好みのファッションを集めた「ピンタレスト」は、目学問にもってこい
「50歳を過ぎたら、もうひとりの素敵な自分を探してみて!」と信田さん。
「着たことのないきれいな色を試すとか、肌を大胆に出してみるとか。『私これ、好きなんだけど』という服を着て、ちょっと外へ。ショーウィンドウを鏡にして、思いきりうぬぼれましょ」
「『そうはいっても、私センスがないから……』なんて言わないで。10代の頃ってセンスより着たい服を着たでしょ。あれと同じ。少し違うとしたら、50歳を過ぎて豊かな経験が育っているってこと。自分を信じてレッツチャレンジです」

メイクは“補う”感覚で。ファンデーションは通販生活で見つけた『潤皙肌®─じゅんせきはだ─ 』

化粧水や乳液は無印良品。バランスよく食べ、朗らかに歩き、よく眠ることを心がけているそう
本記事は『77歳 365日の紡ぎ方: 益子暮らし、元カフェ店主 信田良枝さんの居場所』(主婦と生活社)からの抜粋です
〈撮影/林ひろし〉
* * *
77歳、益子暮らし、元カフェ店主信田良枝さんの居場所
食べること、着ること、そして暮らすこと。益子暮らし、元カフェ店主・信田良枝さんの“心地よさ”の秘訣や考え方をご紹介した1冊。信田さんの言葉は、ひとつひとつ核心を突いていて、日々を楽しむヒントがたくさん。スコーン、キーマカレー、りんごジャムのレシピや、ドイリー、押し花アート、腹筋・殿筋運動のやり方なども掲載!
信田良枝(のぶた・よしえ)
1947年東京都生まれ。益子焼で有名な栃木県益子町在住。26歳で結婚し、33歳で益子に移住。一男一女を授かる。陶芸家の夫を支えながら、子どもたちを育てあげた後、55歳でカフェ「ごはん屋ギャラリー『猫車』」をオープン。素敵な器とおいしい料理、癒やしの空間で人気店に。69歳でカフェを閉め、70歳でひとり暮らしを開始。自分のためにつくった服が評判を呼び、年数回、自宅で個展を開いている。
インスタグラム:@minnano_coromo