(『天然生活』2024年9月号掲載)
自宅2階の角部屋で時間を忘れてミシンをふみふみ
斉藤さんが日々作業をするのは自宅2階の角部屋です。
左右の壁に大きな窓があり、開け放つと風がすっと抜けていく気持ちのいい空間。
晴れていれば、川崎市と木更津市をつなぐ高速道路、東京湾アクアラインが遠くに望めます。
そして作業台には年代もののミシン、刃がすり減った裁ちばさみ、針刺しといった道具類が並び、どれも大切に使い込まれてきたことがうかがえます。

庭の手入れや犬の散歩などの家事をすませ、作業開始は昼ごろ。暗くなり始める夕方まで時間を忘れて没頭。長年使ってきたミシンはいまや修理するにも部品がなく、限界に近い状態
別の作業台には見慣れない形をした白のものさし。そこには文化服装学院と印刷された文字が。
「ふたりの妹たちにお金をかけずに、服をつくってあげたい」という思いから、高校卒業後、文化服装学院で4年間、洋裁を学びます。
「当時は既製服がほとんどなくて、自分でつくるか、お店でつくってもらうかの時代でしたから。でも、手芸とかが好きだったのかもね、やっぱり」

袖ぐりなどゆるやかなカーブをつくるときに使うものさしで、文化服装学院時代から愛用
▼デザイナー・斉藤照子さんの記事はこちら
〈撮影/落合由利子 構成・文/水野恵美子〉
斉藤照子(さいとう・てるこ)
ハンドメイドの服づくりに携わってきて半世紀以上。いまは自分のつくりたいものを自由に楽しみながら創作活動中。手にするデニムシャツは約50年前、子どもにつくったもの。編み物好きでもあり、ニット作品も多く手掛ける。SAITOSHOP
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです