台所で小さく始めた草木染めと、織りの世界に魅せられて
橋本さんが初めて草木染めと出合ったのは、日本の大学を卒業し、アートを学びたいとイギリスの学校に留学したときのこと。
「サステナブル」「エコ」といったテーマの授業を受けるなかで、自宅の台所で小さく始めてみたそう。
「身近な植物で、小さなスペースでできるならと思って始めてみたら『こんなにきれいな色が出るんだ』と。表現したい色や、重ね染めで思いがけないきれいな色が出せると楽しいですね。色が思うように出なかったり、グラデーションを試行錯誤したり、簡単にはいかないところも面白いです」

当日朝に刈り取った蓼藍(タデアイ)で、藍の生葉染めの様子を見せてくれた
作品のもうひとつの魅力である手織りと出合ったのも、このころ。
「グラフィック、インテリア、イラスト、シアターデザイン(舞台美術)などを学ぶうちに、服にする前の“素材”の部分を極めたいなと思ってテキスタイルにしました。さらにプリント、ニット、刺しゅう……と学んだなかで、織りが一番面白いなと」

相棒は、ニュージーランドのアシュフォードハンディクラフト社製の手織り機

考えた織り図をもとに、8つのレバーと筬(おさ)を動かしながら織っていく


「日々いろいろあるなか、私がつくる色や服で少しでも明るい気持ちになれたらいいなと思います。『この服を着てどこかに行ってみようかな』と、みなさんの背中をやさしく押せる存在になれたら」
そう話す橋本さんのアトリエは、身につける人の気持ちに寄り添いたいと願う、あたたかい雰囲気に満ちていました。

橋本さんの「プロの愛用道具」
シャトル
緯糸(よこいと)を通すための道具。「ブランドロゴを刻印したお気に入りのシャトルです」

ボビン巻き機
ボビンを差し込み、レバーをくるくる回して糸を巻きつける機械。ボビンワインダーとも呼ぶ。

ロータリーカッター
布を切るときに使う。まっすぐ切るほか、少しカーブさせて切りたいときなどにも重宝する。

傘/自動糸巻き機
手染めした糸を傘(写真手前)にはめて、糸巻き機(写真奥)で巻き取ると大玉糸ができる。


夏限定! 新鮮な藍の生葉を使って、布や糸を爽やかな青色に染めるワークショップです。
藍の収穫時期にしかできない、特別な草木染め。染めた毛糸で編み物をしたり、生地を使って縫製したり――世界にひとつだけの作品づくりに活かせます。
シミがついて着られなくなった洋服も、染め直すことで生まれ変わります。アップサイクルとしてもおすすめです。
夏休みの自由研究にもぴったり! 小学生のご参加も大歓迎です。
ご予約・詳細はこちらから
藍の生葉染めワークショップ
開催日時
・8/23(土) 14:00〜16:00
・8/24(日) 11:00〜13:00/14:00〜16:00
・9/13(土) 14:00〜16:00
・9/14(日) 14:00〜16:00
会場:台東デザイナーズビレッジ 213号室/2階交流サロン
住所:東京都台東区小島2丁目9−10
アクセス:地下鉄大江戸線・つくばエクスプレス「新御徒町駅」A4出口より徒歩1分/JR山手線「御徒町駅」北口より徒歩15分
〈撮影/星 亘 文/太田菜津美(編集部)〉
橋本杏菜(はしもと・あんな)

テキスタイルデザイナー。ロンドン芸術大学 Chelsea College of Arts にてテキスタイルデザインを学ぶ。帰国後、草木染め専門のブランドにて染色・ 商品開発を経験。2022年「annita artworks」を立ち上げ、現在は台東デザイナーズビレッジにてアトリエを構え活動する。
HP:https://annita-artworks.myshopify.com/
インスタグラム:@annita_artworks