手を動かすことは、自信を取り戻すこと
こんにちは、写真と文の七緒です。うだるような暑さが続きますが、皆さん調子はいかがですか?
わが家は、初夏に仕込んだシロップが大活躍。梅シロップを炭酸水と合わせてぐびっといただくだけで、体の内側から力がみなぎってきます。
鎌倉山の麓で暮らしはじめて「自分でつくれるかも?」が、家族の合言葉になっています。なぜなら初心者でも手を動かしてみたら、案外形になることを実感しているから。

たとえば野菜づくり。種を蒔いて、水をあげて、目をかければ、すくすく育っていきます。とっても簡単で、私にもできた!と小さな自信にもつながります。
きっと手を動かすことは、自信を取り戻すこと。スピード重視な現代において、自分でつくれたという喜びは、灯台のように心を照らしてくれます。それはセルフケアともまっすぐつながっているのです。
“小さな薬草店”をイメージに
心身を整えるセルフケアの源、台所

今回はセルフケアの源「台所」について。
ハーブティーを淹れたり、白湯を沸かしたり、はちみつ大根をつくったり。心身を整えるセルフケアと台所は切っても切り離せません。家族のあたたかな記憶を育む場所でもありますね。
実は、この家を選んだ一番の決め手は台所でした。
はじめて目にした瞬間、心奪われたことを覚えています。大袈裟かもしれませんが、ビビっと来たのです。

内見の日に撮った1枚
曇りガラスからさしこむ繊細な光、古い木の建具で構成された佇まい。引っ越し前、小説『西の魔女が死んだ』のような暮らしをできたら…と妄想していましたが、目の前の光景は、まさにそれでした。
ふと湧いたイメージは、小さな薬草店。おばあちゃんが一人で営んでいて、静かでくつろげる…そんな空間。それでいてガシガシ使えるよう、使い勝手も良く。
築50年という古い台所ならではの「情緒」と、忙しい日々を支える「使いやすさ」を両立するために、心がけていることを3つご紹介します。
心地よい「台所」をつくるための3つのルール
①「情緒」と「使いやすさ」を叶える自然素材

時を重ねてきた情緒を活かせるよう、空間は自然素材で構成しています。経年劣化でボロボロだった床は、大工さんに杉板をアンティーク加工してもらい、新しく張り替えました。
ただ、台所が家の北側にあるため、そのままだと暗く野暮ったい印象に(古い家あるあるですね)。そこで業務用のステンレスキッチン、無印のスチールユニットシェルフを取り入れ、洗練感を。汚れもさっと拭けて、お手入れも楽ちんです。
器、道具、保存容器も、自然素材が多いです。雰囲気に合うのと、自然素材に囲まれていると、シンプルに心地いいです。
②器や道具は厳選し、手が届くところに

わが家の台所はユニークな五角形。狭さを活かして、少ないアクションで欲しいものに手が届くよう工夫しています。
道具は取り出しやすい場所にS字フックや釘を打って吊るして。ポットや器はガラス戸棚に。どれも1〜2歩歩けば手が届きますし、見せる収納にすることで、出し入れ簡単。見るたびに心もときめきます。
ものが多くなると一気に雑然とするため、多くは持たないように。

カラフルなマグは、上が東絵理さん・下がドウガミスミコさんのもの
つい増えてしまう器も、大切なものを厳選。私は地産地消マインドで、住んでいる町の器屋で選ぶことがほとんど。以前住んでいた清澄白河の雑貨店「WOLK」、鎌倉の器屋「うつわと手仕事 廻り道」がお気に入りです。
③ハーブティーは分かりやすく美しく収納

毎日楽しむハーブティーは、よく飲むハーブを厳選して、ガラス戸棚に並べました。色鮮やかなハーブが並んでいるさまは、訪れる人から「わあ♡」と歓声が上がることも多いです。
ハーブティーの保存は、常々悩みの種でした。買ったままのプラ袋で保存すると、中身が分かりづらく、ごちゃごちゃしてしまう。袋がバタバタっと倒れてしまうのもストレスでした。
そこで「チャーミークリアー」に統一したことで使いにくさがなくなってスッキリ。透明で中身がすぐ分かり、スタッキングできて省スペース。フタをあけるのもラクで、数百円と安価!
白のポスカでラベリングすることで、薬草店のような見た目に。
※ハーブは冷暗所での保存がベターです。個人の楽しみの範囲なので気にしていませんが、ご留意くださいね。
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台所から眺める庭にも癒やされます
住みはじめて1年が経つ今も「いい台所だなあ」と心が躍ります。それは情緒と使いやすさのバランスが取れているから。
忙しい日々を助ける使い勝手と、心地よさを大切に。私のインテリアルールはセルフケアの在り方とも繋がっているようです。
〈撮影/星 亘(3枚目:七緒) 文/七緒〉

七緒(なお)
写真と文。「毎日も人生も、心地よく」というテーマで、鎌倉山の麓に暮らしながら、心とからだが楽になるセルフケアの知恵を届けている。Voicy「心地よくきく、セルフケアジャーニー」も好評。著書3冊、1児の母で、植物療法士としても学びを深めている。
インスタグラム:@naotadachi
ラジオ(Voicy):心地よくきく、セルフケアジャーニー
note:https://note.com/naotadachi