レモンの酸味と香り、しょうがの辛みと滋味。氷砂糖がエキスを引き出す
ぬか漬けや自家製塩麹など、保存食づくりを得意とする榎本美沙さん。旬のフルーツや野菜が手に入ったら、こまめに自家製シロップにしているといいます。
「私の冬の定番シロップといえば、レモンとしょうが。レモンは皮ごと使いたいので、ノーワックスの国産レモンが出回ったらつくるようにしています。しょうがも一緒に漬けると、ピリッとした辛みが加わって大人の味に。体を温める作用もあるので、寒い季節に重宝します」

榎本さんがシロップづくりに愛用しているのが、氷砂糖です。大きな砂糖の結晶が時間をかけて少しずつ溶けて、食材のエキスをしっかりと引き出します。
「氷砂糖は純度が高く、色も甘みもクリアなのが魅力です。レモンの酸味やさわやかな香り、しょうがのピリッとした辛みなど、素材自体の味がしっかり感じられるのがいいですよね」
レシピはシンプルに、食材と氷砂糖を1:1の割合に。レモンとしょうがの総重量と同じ重さの氷砂糖を用意して、保存びんを消毒すれば準備は完了です。
氷砂糖を使った
レモンジンジャーシロップのつくり方
「レモンもしょうがも、なるべく薄く切るようにしています。薄くて断面が多い方が早くエキスが出るんです」と、レモンをスライスしながら語る榎本さん。
「とはいえ、ゆっくり溶ける氷砂糖を使えば、浸透圧が上手に働きエキスがしっかり引き出されるので、厚めに切っても大丈夫ですよ」という力強い言葉も。そして、しょうがのよい香りは皮にあるので、皮はむかずに薄切りにするそうです。
「レモンは果汁が多いので、漬けたら短時間でエキスが出てきます。ときどきゆすって全体をならして、氷砂糖が溶けたらでき上がりです」

榎本さんのおすすめの味わい方は、レモンジンジャーティー。
「紅茶1杯に対してレモンジンジャーシロップ大さじ1〜2を入れます。シロップを加えた瞬間、レモンの酸の力で紅茶の色がワントーン明るくなるのでお見逃しなく。飲めば、しょうがの力で体の中からぽかぽかしてきますよ」
炭酸水で割ってレモンジンジャースカッシュにしたり、焼酎と合わせて自家製レモンサワーにするなど、楽しみ方もいろいろ。ゆずやきんかんなど、レモン以外の柑橘類で応用することもできます。
材料(約1L分)

| ● 国産レモン | 3個(300g) |
| ● しょうが | 100g |
| ● 氷砂糖 | 400g |
基本の分量 1:1(氷砂糖:果実)
下準備
● 保存びんを煮沸消毒またはアルコール消毒する。
つくり方
1 レモンはよく洗い、水けをふく。へたを切り落として2~3mm幅の輪切りにする。種は取り除く。しょうがは繊維を断ち切るように皮ごと薄切りにする。

2 保存びんにレモン、しょうが、氷砂糖を交互に入れる。軽く押しながら詰めていき、6~7層になるようにする。一番上に氷砂糖がのるようにする。

3 ふたをしめて室温におく。1日数回びんをゆすり、5~7日ほどして氷砂糖が溶けたらでき上がり。レモンとしょうがを取り出し、冷蔵庫で保存する。

保存期間:冷蔵庫で1カ月保存可能
榎本さんのひと工夫
●レモンは皮部分から苦味が出るので、氷砂糖がすべて溶けたら取り出す。
●取り出したレモンとしょうがは保存容器に入れて冷蔵庫で保存し、3〜4日程度で使い切る。
レモンジンジャーシロップを使ったアレンジレシピ①
パリパリチキンステーキ レモン塩麹ソースがけのつくり方

カリッと香ばしく焼き上げた鶏の皮目と、肉汁たっぷりジューシーなもも肉を味わうチキンステーキ。
「鶏肉を塩麹に漬けてから焼くとこげやすいので、皮目をパリッと焼きたいときは漬け込みをしないのがコツ。塩麹はレモンジンジャーシロップと合わせてソースにして、甘じょっぱい中に深みのある味を楽しみます」と榎本さん。
材料(2人分)
| ● 鶏もも肉 | 2枚(400g) |
| ● オリーブオイル | 大さじ1 |
| ● 塩 | 小さじ1/4 |
| ● こしょう | 少々 |
| ● レモンジンジャーシロップの果肉 | 適量 |
| ● フリルレタス | 適量 |
| <ソース> | |
| ・レモンジンジャーシロップ | 大さじ1と1/2 |
| ・塩麹 | 大さじ1/2 |
| ・オリーブオイル | 大さじ1/2 |
つくり方
1 鶏もも肉は、塩、こしょうをもみ込む。
2 フライパンにオリーブオイルを弱めの中火で熱し、鶏肉の皮目を下にして入れる。フライ返しで押さえながら7〜8分焼く。上下を返して余分な油をふきとり、さらに4〜5分焼く。
3 ソースの材料を混ぜ合わせる。器にフリルレタスとチキンステーキを盛り、レモンジンジャーシロップの果実をのせて、ソースをかける。

レモンジンジャーシロップを使ったアレンジレシピ②
甘酒クレープ レモンジンジャーシロップがけのつくり方

おやつや朝食にぴったりのクレープ。甘酒と豆乳を入れることで、もっちりやわらかな食感が生まれます。
レモンジンジャーシロップが生地にしみ込んで、ココナッツオイルの香りとレモンの風味が重なると、甘い香りのなかにさわやかな風味が広がり、あと引く味わいに。
材料(直径26cm✕約6枚分)
| ● 薄力粉 | 90g |
| ● 塩 | ひとつまみ |
| ● 卵 | 2個 |
| ● ココナッツオイル(液体の状態/溶かしバターでもよい) | 20g |
| ● 無調整豆乳 | 1/2カップ |
| ● 甘酒(米麹/ストレートタイプ) | 140mL |
| ● 米油 | 適量 |
| ● レモンジンジャーシロップのシロップ、果肉 | 適量 |
つくり方
1 ボウルに薄力粉、塩を入れて泡立て器で混ぜ、中心をくぼませて卵を割り入れ、さらに混ぜる。全体が混ざったらココナッツオイルを加えて混ぜ、なじんだら豆乳、甘酒を少しずつ加えて混ぜる。ラップをかけ、冷蔵庫でひと晩おく。
2 フライパンに米油を薄くひいて中火で熱し、クレープ生地をおたま1杯分入れ、フライパンを回して薄く広げる。
3 まわりがかたまってきたら菜箸を入れて上下を返し、裏面も1分ほど焼いて取り出す。残りのクレープ生地も同様に焼く。
4 クレープをたたんで器に盛り、レモンジンジャーシロップのレモンとしょうがを盛り付け、上からレモンジンジャーシロップをかける。

榎本美沙(えのもと・みさ)
料理家、発酵マイスター、国際中医薬膳師。季節感のあるレシピや、少量から手軽につくれる発酵料理が好評で、YouTube「榎本美沙の季節料理」のチャンネル登録者は39万人を超える。最新刊『榎本美沙のみそ本 からだが整う自家製みそ仕込みとちょっと新しいみそ料理』が好評発売中。また別冊天然生活『榎本美沙さんの発酵のある暮らし』(扶桑社)が12月10日に発売予定。オンライン料理教室『榎本美沙の料理教室』主宰。
インスタグラム:@misa_enomoto
YouTube:榎本美沙の季節料理
もっと氷砂糖のレシピを知りたい人は
全日本氷糖工業組合 | 旬の果実でおいしく楽しい氷砂糖
氷砂糖でくらしをもっとカラフルに。梅酒づくりでおなじみの氷砂糖は、じつは梅以外の果実とも相性Good。色とりどりのフルーツを使って手づくりを楽しめる氷砂糖の世界、あなたものぞいてみませんか。
* * *
協力/全日本氷糖工業組合
http://www.hyoutou-kumiai.jp/tezukurilife/
〈料理/榎本美沙 撮影/山川修一 取材・文/河合知子〉
* * *




