(『天然生活』2025年4月号掲載)
ミサオさん流「こしあん」のつくり方を美子さんに教えてもらいました
小豆は水に浸さず、たっぷりの水を加えて火にかけます。
沸騰して少し煮たら火を止め1時間休ませる。
もう一度沸騰させて火を止める。二、三度くり返し、余熱でゆっくり煮ていくのです。
そして豆が煮えたら冷めないうちに手でつぶし、残った皮はミキサーで細かくくだきます。
つぶした小豆(中身)と、細かくくだいた皮を布袋に入れて水にさらしますが、さらし方が足りないと雑味が残り、口どけもいまひとつ。
そうかといって、さらしすぎるとあんが水に流れ出てしまう。

水を入れたボウルを用意し、ざるに煮た小豆を入れ、指で押しつけるようにしてつぶす。中身は水の中に

残った小豆の皮はミキサーに移し入れる。水を少し足し、細かくなるまで4~5分、時間をかけて砕く

布袋の口を開け、水に沈んだ小豆の中身をざるでこしながら流し入れる。くだいた小豆もこしながら入れる

袋の口をひもで結び、袋を水に浸す。もむようにしながらぬめりを取る。さらし方が足りないと雑味が残る
「あんづくりは難しいです。細かすぎてもダメだし、やや粗さを残す感じ。おばちゃんは豆の煮方、こし方も何気なくやっているようですべてにこだわりがあり、すべてがコツでした。その技を受け継いでいけるよう、がんばっていきたいです」
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<撮影/衛藤キヨコ 構成・文/水野恵美子>
桑田ミサオ(くわた・みさお)
1927年青森県・津軽生まれ。保育園の用務員を退職後、60歳から農協の無人販売所で販売する笹餅をつくり始める。山に分け入って笹の葉を採り、材料のこしあんから全て手づくりする笹餅は、またたくまにおいしいと評判となり、75歳で本格的に起業。79歳で津軽鉄道「ストーブ列車」に乗りながら、車内販売を始めると、「ミサオばあちゃんの笹餅」として注目を集める。2020年には、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に、「たった一人で年間5万個の笹餅を作り続ける職人」として取り上げられる。平成22年度農山漁村女性・シニア活動表彰 農林水産大臣賞受賞。令和3年春の勲章 旭日単光章受賞。95歳で笹餅づくりを引退する。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです