(『天然生活』2024年9月号掲載)
岸田奈美さんの家族のアルバム
父は世を去り、母は車椅子に。愛車ボルボを手放し、取り戻し、家族3人でホノルルマラソンへ。想像を超えていく岸田家の歴史。

幼いころから「えらいねえ。面倒をみて」といわれていた。「どっちかというと、きっちりした良太に私が面倒をみてもらっていたんですけど」

弟を抱く父。「父は、『良太は染色体が1本多くて人と違う。隕石が来て人類は滅亡しても、良太は生き残る。そんな子を育てて誉れや』と」

ドイツや北欧の建築に惚れ込んでいた父。愛車は、「とても頑丈で乗っている家族を守れる」といって選んだ、北欧生まれのボルボだった

ミャンマーの旅では、外に出たとたんに人々が母の車椅子を担ぐことに驚いた。「あまりの早さに、『おかんがぬすまれた!』とあせりました」

下半身不随になった母が手だけで運転できるよう改造を施した岸田家ゆかりの車種ボルボ。代理店や工場の人々の尽力で、家族の夢がかなった

大動脈解離の手術をした母が病床で「いつか車椅子でホノルルマラソンを走りたい」と掲げた夢。2023年に家族3人で達成した
〈撮影/杉能信介 取材・文/福山雅美 構成/鈴木麻子〉

岸田奈美(きしだ・なみ)
1991年生まれ。兵庫・神戸出身。関西学院大学人間福祉学部社会起業学科卒業。自称:100文字で済むことを2000字で伝える作家。デビュー作『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(小学館)が話題となりForbesの「世界を変える30歳未満の30人」に選出される。「note」も更新中。
X(旧ツイッター):@namikishida
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです