はちみつの蜜源になる、美しい花々
滞在中、はちみつは朝食に欠かせないもので、濃厚なギリシャヨーグルトにたっぷりかけて毎朝食べていました。
店頭で勧められるのはタイムのはちみつばかりでしたが、他にもミツバチが好む植物を挙げてみたいと思います。
まず印象的だったのはジャカランダです。
アテネには淡い紫色の花をつける並木道があり、見上げているとミツバチが蜜を集めていました。

すぐ近くの教会は周りにぐるりとレモンが植え付けられていました。甘い香りの花の季節にはミツバチが集まるのでしょう。
ニドリのレストランでは、オレンジ色がかったノウゼンカズラがテラスを覆っていて、花の中から出たり入ったりする姿から、ミツバチにとってなかなか人気のようでした。

朝、滝へ続く道を散歩していると、マートルの白い花やオリーブ畑を縁取るブラックベリーの淡いピンクの花にもミツバチが集まっていました。
散策していると、あちこちから羽音が響いてきます。
ギリシャで思い出に残る音は何かと聞かれたら、迷わずミツバチの羽音と答えるだろうと思います。
〈撮影・文/石丸沙織〉
石丸沙織(いしまる・さおり)
英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。
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メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。
ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。
ハーブとの出逢いを通して、新しい自分に出逢える一冊です。