サボテンの花からもはちみつが!?

ギリシャで知り合った友人たちが、デイトリップを計画してくれました。
ニドリから島の南端までタクシーで移動し、フェリーに1時間乗って、ケファロニア島の「フィスカルド」へ渡りました。
そこはブーゲンビリアに彩られた小さな港町でした。
島に残る遺跡を見学し、レストランでランチを楽しんだ後は、小さなビーチでのんびり過ごしました。

道すがら目につくのが、サボテンの仲間である「オプンティア」。
ウチワサボテンの仲間だそうで、石塀から乗り出すような勢いでしたが、花は黄色く、かわいらしい。
近づいてみると、その花の中にミツバチが入っていきます。
きっとおいしいに違いないのだろうと思いますが、サボテンの蜜の味はなかなか想像できません。

この植物を調べてみると、赤い実をつけ、とてもおいしいらしいことが分かりました。植物図鑑には「ギリシャの夏の楽しみ」とまで書いてあります。
けれども、その実は全体を小さなとげが覆っています。
知っているもので例えるならば、ドラゴンフルーツの外皮を覆う緑色の鱗のような部分が、小さなとげに置き換わったようなイメージ。
食べ方を知っている人だけが楽しめる代物のようです。
町の外れでは、島の農家がはちみつ売りの屋台を開いていました。
その瓶に記された名前を見れば、この島で育つ植物がわかるのではないかと思うほど種類が豊富でした。
こんなにいろいろな蜜源植物を見たのに、我が家への土産に選んだのはラベンダーとタイムのはちみつ。
もう少し冒険してもよかったかな。

ギリシャを知る1冊
『怪談ーこわくて不思議な10の話ー』小泉八雲・著、小宮 由・訳(アノニマスタジオ)
次回は、第3話「市場で見つけたハーブ・マスティハ」をお届けします。どうぞお楽しみに!
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▼石丸沙織さん「ハーブを探しに、ギリシャを巡る旅」そのほかのお話はこちら
〈撮影・文/石丸沙織〉
石丸沙織(いしまる・さおり)
英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。
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メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。
ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。
ハーブとの出逢いを通して、新しい自分に出逢える一冊です。