ギリシャのヒオス島でのみ生息する希少な植物「マスティハ」
「マスティハ」というなんとも異国情緒漂うものも見せてもらいました。
レジ横の棚にさりげなく並んでいる、袋詰めされた小さな樹脂の塊です。
とても希少な樹脂だそうで、エーゲ海東部、トルコの近くに浮かぶ「ヒオス島」でのみ生息する植物だといいます。
木の幹や枝を傷つけ、そこから滲み出る樹液を自然乾燥させて、少し固くなった状態のものを採取します。この樹脂をパウダーにして料理やお菓子づくりのフレーバーとして使うことも。
レシピなども分からず、少しハードルが高いなと思っていたら、ガムのようにかんで使うこともできるのだそう。
口に含むとすっきりする効果があることから、紀元前5世紀から伝わるギリシャのオーラルケアなのだとか。
最後まで溶け切ることはないから、ある程度小さくなった状態で飲み込んでもよいそうで、口だけでなく胃もすっきりします。
いろいろな質問をしていたら、シンタグマ広場近くにあるマスティハ専門店にも寄ってみるといいとすすめられました。
マスティハショップに入ってみると、食材としてだけでなくキャンディなどのお菓子があったり、スキンケアのラインもあったり、種類が豊富なことがわかりました。

〈撮影・文/石丸沙織〉
石丸沙織(いしまる・さおり)
英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。
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メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。
ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。
ハーブとの出逢いを通して、新しい自分に出逢える一冊です。