スッキリとした香りで、食用にも、スキンケアにも
ますます謎が深まるマスティハ。
市場で見せてもらった樹脂には大中小と3種類あり、大きめのサイズはやわらかくてかみやすく、小さいものは硬いので、紅茶や水などドリンクに入れてフレーバーを楽しむのだそう。
中くらいのものは、どちらの目的にも。

粉末状になって、1回分ずつ小袋に入ったものも販売されていましたが、樹脂を砕いて使うこともできます。
夏の暑さでべとべとして扱いにくいときには、冷凍庫に入れて冷やし、乳鉢と乳棒を使って砕くとよいそう。
接客してくれた若い女性は、「自分では料理はしないけれど、スキンケア製品なら詳しいわ」と、おすすめを並べてくれました。
連日の焼き付けるような日差しで日焼けした肌には、樹脂を蒸留して抽出したマスティハウォーターがスキントナーにぴったりだそう。
フェイス&ボディ用モイスチャライザーは冬の乾燥した肌にもよさそうで、やさしく肌になじんでいきます。
また、シャンプーバーとヘアコンディショナーバーが揃った石鹸もよさそうでした。

サンプルを試していたところ、すっかりマスティハのすっきりした香りがクセになってきました。
この旅で記憶に植え付けられたギリシャの香り、マスティハ。
呪文のようにこの名前を唱えれば、夏の日差しが照りつける青い海と旅の思い出が目に浮かびそうです。

ギリシャを知る1冊
『Wild flowers of Greece』Vangelis Papiomitoglou・著(Mediterraneo Editions)
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▼石丸沙織さん「ハーブを探しに、ギリシャを巡る旅」そのほかのお話はこちら
〈撮影・文/石丸沙織〉
石丸沙織(いしまる・さおり)
英国メディカルハーバリスト、アロマセラピスト。イギリスでハーブ医学を学んだのち、東京、香港を経て、2011年より鹿児島県奄美大島在住。地域に根差したハーバリストとして、身近なハーブを暮らしに取り入れたケアを広めている。菓子研究家・長田佳子さんとの共著に『ハーブレッスンブック』(アノニマ・スタジオ)、訳書に『フィンランド発 ヘンリエッタの実践ハーブ療法』(フレグランスジャーナル社)がある。
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メディカルハーバリストの石丸沙織さんと菓子研究家・長田佳子さんは2018年より「herb lesson」を開催してきました。ハーブのテイスティングとそのシェアリングに時間をかけ、教科書的なハーブの知識だけではなく、それらが使う人の心身にどのように響くかを大切にしています。
ハーブティー、ブレンドの考え方、ハーブバス、チンキなどのレメディ、ハーブの風味を味わうお菓子を暮らしに取り入れてみましょう。自分の感覚を大事にする、こころとからだを癒すセルフケアの方法やアイデアをご紹介します。
ハーブとの出逢いを通して、新しい自分に出逢える一冊です。