(『天然生活』2023年10月号掲載)
夏の疲れをいやす献立

お茶で体と心を整えることも日課
「薬膳を取り入れた食事をしているおかげか、夏バテや肩こりなどの不調とは縁がないんです」とコウ静子さん。
薬膳とは、身近な素材で体を整えていく食養生です。
「すべての食材に薬効があるので、季節や体調、気分に合わせて食材の組み合わせを楽しんでください」

黄色い菊花茶は更年期の症状を和らげる。ストレスを感じるときには、精神を安定させるなつめを煮込んでつくる、なつめ茶を
夏の暑さが残るこの時季は、夏の疲れをいやす食材を。空気が乾燥し、気温が低下する秋は、乾燥によるダメージを潤す食材がおすすめです。
また、夜ごはんは睡眠にも影響を与えるその日最後の食事。ストレスを和らげる食材を積極的に取り入れて、リラックスすることが大事だといいます。

自家製の菊花茶、くわの実茶、くわの葉茶のブレンド。茶葉に熱湯を注ぎ、3分ほど蒸らす。「湯を注ぎ足し、香りがなくなるまで楽しめます」
「心と体は繋がっているので、ストレスを抱えて眠ると疲れが取れないし、翌日、筋肉がこわばるなどの不調が出てきます。夜ごはんにストレス改善に繋がる、気がめぐる食材を取り入れて気持ちをリセットし、ストレスを明日に持ち越さないようにしたいですね」
とはいえ、薬膳にとらわれすぎると逆にストレスになることも。
「あまり難しく考えずに、体調がいいときは好きなものを食べ、不調のときや落ち着かないときに、薬膳を取り入れてみてください」
夏の疲れをいやす献立
「サムパ」のつくり方

「サムパ」とは、葉野菜でごはんやお肉を包む韓国の家庭料理。
鶏肉の煮汁でつくるスープは想像以上のおいしさ。ぜひお試しを。
材料(3~4人分)
● 鶏もも肉 | 1枚 |
● 塩 | 小さじ1/2 |
● 干しなつめ | 4個 |
●A | |
・にんにく(つぶす) | 1片 |
・黒粒こしょう | 5~6粒 |
・塩 | 小さじ1/2 |
・酒 | 1/4カップ |
・水 | 4カップ |
● レタス、サンチュ、えごまの葉、アンディーブ、ディル、イタリアンパセリなど好みの葉野菜やハーブ | 適量 |
● プクプク野菜味噌(次ページ) | 適量 |
つくり方
1 鶏もも肉は、塩をすり込み、10分ほどおいてさっと洗って水けをきる。干しなつめは洗って水けをきり、縦に切り込みを入れる。
2 鍋に1の鶏肉となつめ、Aを入れて強火にかける。煮立ったらあくを除いて弱めの中火にし、20分ほど煮る。煮汁はスープにする。
3 鶏肉を引き上げ、粗熱が取れたら食べやすく切る。2のスープは塩(分量外)で味をととのえ、なつめとともに器によそい、こしょう(分量外)を挽き入れる。
4 野菜やハーブを手に取り、鶏肉や緑豆ごはん、プクプク野菜味噌を包んでいただく。
薬膳ポイント
暑さが残る初秋は、発汗で失われる血と気(生命エネルギーの源)を補う、鶏肉やなつめを。疲労回復にも効果的
* * *
天然生活2025年10月号が発売中。「夜時間を整える暮らし方」、や「夏の疲れをいやす発酵生活」、「秋の夜長にうれしい煮込みレシピ」などを特集しています。
ぜひ合わせてお楽しみいただけましたら幸いです。
<料理・スタイリング/コウ静子 撮影/公文美和>
コウ静子(こう・しずこ)
料理研究家、茶人、国際中医薬膳師。季節ごとの恵みを楽しむ料理教室や料理会、茶会を各地で開催している。開催予定はインスタグラム@kohshizukoで紹介。著書に『季節に寄り添う韓国茶』(グラフィック社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです