Q:寝起きの重だるさと体の痛みを改善したいです。「睡眠の質」を上げる方法を教えて!

寝たのに逆に疲れてる?
朝起きると、体がだるく腰や背中に痛みを感じることがあり、「寝たのに逆に疲れている」というような状態のときがあります。
睡眠時間は6~7時間ほどで、寝すぎて痛いというのとも違うようです。ちなみにいびきはほとんどかいていないようです。
寝る姿勢が悪いのでしょうか? 痛みやだるさを予防するための、正しい寝方やおすすめの睡眠環境などがあれば教えてください。
また、忙しくてたくさん睡眠時間を確保することが難しいのですが、限られた時間でなるべく「睡眠の質」を上げる方法についても知りたいです。
(よっちさん/50代、会社員)
A:寝る姿勢と環境を整え、メラトニンの分泌を促す意識をしましょう

寝る姿勢に問題があるのかもしれません
体に負担がかかりにくい寝姿勢とは?
今回は朝起きると、体がだるく腰や背中に痛みを感じるというよっちさんからのお悩み相談です。
もともと二足歩行している人間は、背骨に負担がかかりやすく、腰痛に悩まされやすいという傾向があります。
よっちさんの場合には、睡眠時間も適切でいびきもかいていないようですので、寝る時の姿勢に問題がある可能性があります。
背骨をまっすぐ伸ばして眠る仰向けの姿勢は、腰の負担になる可能性があります。横向きに寝て背中を軽く曲げる姿勢や、仰向けでも足と頭をわずかに上げられる電動ベッドなどで少し角度をつけ、腰を軽く曲げた状態で眠ると、楽になることがあります。
睡眠の質を上げるには、メラトニンの分泌が大切
睡眠環境を整え、睡眠の質を上げるには、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンの分泌が大切です。このメラトニンは40代以降から徐々に分泌量が減少するため、メラトニンの分泌を維持することが重要です。
メラトニンの分泌に重要なことは、まずは朝の光を浴びるということです。朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びてみましょう。このことが、夜の睡眠時のメラトニンの分泌量を整えることにつながります。
睡眠の質を上げるためにおすすめの食べもの
またメラトニンの材料となるトリプトファンという成分をとることも重要です。これは、牛乳、納豆、豆腐、チーズ、卵、バナナ、カツオ、マグロ、ナッツ類などに多く含まれています。
またビタミンB6をとることで、これらトリプトファンがメラトニンへ変換されることを手助けしてくれるため、ビタミンB6を多く含むニンニク、鳥の胸肉、さつまいも、鮭なども意識して多くとりましょう。
ほかには寝ている間にお腹を休ませるため、就寝3時間前には夕食を済ませる、体温が一度上がり、下がってくる時に眠気をもよおすために、ノンカフェインやノンアルコールのあたたかい飲みもの(白湯や生姜湯、カモミールティーなど)を飲むのもおすすめです。
就寝環境を整えましょう
お風呂の温度はぬるめのお湯で、ゆっくりリラックスすることも大切です。あまり熱い温度だとかえって覚醒してしまうため注意が必要です。
音楽を聴くなどして、寝る前にリラックスするのもよいでしょう。普段の日と休みの日の寝る時間と起きる時間をできるだけ同じにして、寝過ぎや寝不足など睡眠のリズムを崩さないよう注意してください。
寝室の環境としては適温で、暗く静かな快適な環境を整えてください。自分にあった寝具を選ぶことも大切で、最近では枕や寝具の専門店も豊富にあるため、相談にのってもらえると思います。
睡眠の悩みにおすすめの漢方薬
漢方では、ストレスを和らげる抑肝散(よくかんさん)や、不安感を和らげる加味帰脾湯(かみきひとう)、酸棗仁湯(さんそうにんとう)、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)などが用いられることがあります。
今回の記事がよっちさんはじめ、睡眠でお悩みの皆様の少しでも参考になれば幸いです。
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來村昌紀(らいむら・まさき)
頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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