• 日々の出来事からお話の種をすくい上げ、絵と文を書き、製本をする。世界で1冊だけのオリジナル絵本を、半世紀近くつくり続けてきた家族を訪ねました。
    (『天然生活』2024年9月号掲載)

    この世にあなたはたったひとりしかいない

    現在は、はる香さんも穂高さんも独立して、万里子さんと弘さんは思い出がいっぱいのマイホームにふたり暮らし。先に触れた「手づくり絵本展」は、2016年に、はる香さんが夫の大輔さんとともに企画したものでした。

    そのころ、弘さんが病気を患い、持ち前の元気をなくしていたため「励ましたかった」とはる香さん。「父には、いつか母の絵本を出版したいとの夢があるんです。だから絵本展を開いて、母の絵本をたくさんの人に見てもらえたら、父が元気になるのではないかと思いました」

    多くの来場者に弘さんが喜んだのはもちろんのこと、万里子さんも。「うれしかったですね。私にとって絵本は日記のようなものだから、ほかの人が見ても面白いと思ってくれるだなんて、予想外でした」

    絵本づくりをずっと続けてきたのは、子どもが喜ぶ姿を見るのが幸せだったから。目の前にいる「たったひとり」に向けた手づくりの絵本は、「この世にあなたはたったひとりしかいない」と伝える力をもっている。どうやらそれはめぐりめぐって、万里子さんや弘さんのいまをも明るく照らしています。

    画像: 娘の受験のお守りにつくったもの。自分を信じるための励ましの言葉が並べられた、まさに「たったひとりのため」の絵本

    娘の受験のお守りにつくったもの。自分を信じるための励ましの言葉が並べられた、まさに「たったひとりのため」の絵本

    画像: 絵本の最終ページに、当時の作者の写真や、絵本をつくるまでのいきさつを記していたことも。時間がたてば忘れてしまうあのころに、ここを見ればグッと引き戻される

    絵本の最終ページに、当時の作者の写真や、絵本をつくるまでのいきさつを記していたことも。時間がたてば忘れてしまうあのころに、ここを見ればグッと引き戻される


    〈撮影/星 亘 構成・文/石川理恵〉

    まちだファミリー 
    母・万里子さんは元小学校教師。長男の穂高さん、長女のはる香さんの育児中は専業主婦になり、手づくり絵本を通じて地域活動に励んだのち、教師に仕事復帰。現在は病気療養中。父・弘さんは元高校教師(化学)。2016年より「ヒロシとマリコの手づくり絵本展」を開催し、縁のある場所を巡回。インスタグラム: @mahiro_publishing

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    * * *

    万里子さんと弘さんの手づくり絵本展が開催!
    会場では手づくり絵本を手に取ってご覧いただけます。
    家族の思い出がつまった、世界に1冊の絵本の魅力をお楽しみください。

    「ヒロシとマリコの手づくり絵本展 in Toshima city at 豊島区立熊谷守一美術館」

    ● 開催日時:2025年10月28日(火)〜11月2日(日)
    10時30分〜17時30分(最終入場17時まで)
    ※最終日は16時閉場

    ● 観覧料:無料(常設展示は有料)

    ● 会場:豊島区立熊谷守一美術館3階ギャラリー
    https://kumagai-morikazu.jp/

    詳しくはこちらから
    https://kumagai-morikazu.jp/exhibition/rJfQ56fk

    * * *

    ▼まちだファミリーの絵本を公開中!



    This article is a sponsored article by
    ''.