• エッセイストで空間デザイン・ディレクターの広瀬裕子さん。書籍『60歳からあたらしい私』の続編として、そこから続く60代の暮らし方を、60歳になった広瀬さんが見つめます。50代の時と比べ、60代は新たな変化があります。できなくなっていくこと、見送ることも増えますが、反して、気づくこと、自分らしく過ごせるようになる時間できれば、年齢は、やさしくわたしに微笑んでくれるでしょう。「60代の衣食住健」。おつき合いいただけたら、うれしいです。10月に入り、手帳を選びました。

    10月。手帳を選ぶ季節です

    10月になると、師走の足音が遠く遠くから聞こえてきます。12月行事のクリスマスや冬至を飛び越え、有名店などのお節料理の予約もはじまりました。「年末は、まだまだ先」と思っていても、実際はあっという間に師走になり、歳の瀬がきて「今年も早かった」となるのが例年です。2025年を過ごしながら、2026年を意識しはじめる。10月は、そんな季節ではないでしょうか。

    2025年の手帳はコンパクトなものにしてみたら

    10月に入り早々に2026年の手帳を手にしました。

    昨年12月のこと。いつもの文具店に手帳を買いに行ったところ、予定していたサイズのものがすでに完売していました。年々、手帳の動きは早くなっているそうです。「どうしよう」。メーカーを変えるか。デザインを変えるか。仕様を変えるか。店頭で30分ほど考え、最終的にメーカー、デザインは変えずに、サイズ変更という結論に至りました。わたしは、それまでよりひと周りちいさいコンパクトな手帳を初めて手にしました。

    コンパクトタイプは、バッグにいれやすく、かさばらず、ポケットにもはいります。そういう点では、とても使いやすいものです。

    画像: 2026年の手帳はモレスキンに。今年2025年はクオバァディス。ペンは伊東屋オリジナル

    2026年の手帳はモレスキンに。今年2025年はクオバァディス。ペンは伊東屋オリジナル

    50歳からマンスリータイプを選ぶように

    でも、デメリットもあります。記述スペースがちいさいため、書くことが少しでも増えるとスペースからはみ出してしまうのです。一概にコンパクトな手帳が使いづらいというわけではなく、わたしが使っているのが、見開き1ページに1ヶ月の予定を書きこむマンスリータイプだからというのがあります。元々、そのページは書くスペースが限られているのです。

    以前は、週ごとのウィクリータイプ、さらに、その前は日毎ごとのデイリータイプを使っていました。50歳になった時、マンスリータイプに変えました。それは「ぱっと見てすぐわかる」ほうが使いやすいと感じたからです。

    ひとり暮らしになり「自分の予定がわかればいい」ということ。ある時期から時間の使い方を変え「予定をいれすぎない」にしたこと。いまは「今月、何があるかがざっくりわかれば十分」です。

    画像: 19.5センチ×25センチサイズなのでゆったり書けます

    19.5センチ×25センチサイズなのでゆったり書けます

    2026年の手帳選び。手に取ったのは自分でも意外なもの

    2026年の手帳は、この10年使用してきたマンスリータイプのいつものサイズに戻そうとお店へ向かいました。メーカーは変えてもいいと思っていたので、とにかく1ヶ月の予定が書きやすく、見やすいものにする。それだけ決めていました。なんとなくこれかな、と思いながら訪れたお店で、ふと、手をのばしたのは──それは、大きなサイズの手帳でした。

    いままでなら、バッグにはいるかどうか考えて選んでいた手帳です。でも、よく考えると、いまは、出かける度、手帳を持ち出さなくてもいい状況です。スマートフォンでもある程度、予定管理ができます。その時にスケジュールが絶対にわからないと困る、という場面もそうありません。

    家族が入院・施設にいた時は、病院や施設のスケジュール優先で予定を組まなければなりませんでした。その場で予定がわかることが必須でした。でも、いまはそれもなくなり、そう急ぐ用事もないため、選択の幅が広がったのです。

    画像: 2026年の手帳選び。手に取ったのは自分でも意外なもの

    生活スタイルが変わり、「持ち歩かない」手帳という選択が生まれた

    外へ持ち出すのが便利がどうかより、家のテーブルで手帳広げた際、書きやすい、見やすいほうが、いまのわたしに合っていそうです。ちいさい文字は書きにくいですし、何より細かな文字は、わたし自身、年々、読みづらくなっています。

    ちなみに日常のTO DOリスト「今日やること」は、毎朝、メモに書き出しています。使用するペンは、消すことのできるフリクション。手帳もメモも変更がある時は、消して書き直すようにしています。

    日々、使うものは、実際に使ってみて合う合わないがわかります。自分をとりまく環境や年齢でも変わります。60歳になったいま手帳もそうなりました。大きなサイズなので手帳というより、スケジュールノートまたはスケジュールダイアリーですね。

    サイズが大きくなり、書くスペースが増えた2026年のノート。広くなった部分は、人生後半からはじまる「余白」のようです。2026年の手帳を使うのはもう少し先になりますが、使いながら、自分がどう感じるか、いまから楽しみです。余白は「自由」でもあります

    2025年も残り2ヶ月半になりました。「終わりよければすべてよし」。いい日々になりますよう。

    画像: ここ何年かの手帳。5年分は残しあとは処分する予定です

    ここ何年かの手帳。5年分は残しあとは処分する予定です


    画像: 生活スタイルが変わり、「持ち歩かない」手帳という選択が生まれた

    広瀬裕子(ひろせ・ゆうこ)
    エッセイスト、設計事務所共同代表、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、瀬戸内を経て、2023年から再び東京在住。現在は、執筆のほか、ホテルや店舗、住宅などの空間設計のディレクションにも携わる。近著に『50歳からはじまる、新しい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)、最新刊は『60歳からあたらしい私』(扶桑社)。インスタグラム:@yukohirose19



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