同僚と「好き」を共有する幸せ
生き生きとした笑顔で、日々の接客を心から楽しんでいる森田さんに、自分らしく働くためのコツを尋ねると、こんな言葉が返ってきました。
「好きなことを仕事にしていてもつらいことも大変なこともありますよね。もちろん、それは私も一緒です。それでも自分らしく働けているのは、まわりの同僚と“好きなこと”を共有できる環境に恵まれているからかもしれません。よく同僚たちと飲み会をするのですが、みんな仕事の愚痴は言わないんです。それより最近読んで面白かった本の話がしたいから(笑)」

白シャツにエプロン、ポケットにはボールペンを差して。「書店員の定番スタイルです」
「仕事を終えて家に帰り、『今日も疲れたな』と思うこともあります。でも、寝る前に読んだ漫画がすごく面白いと、『早く明日出勤して、この漫画を同僚にすすめたい!』って思ってしまうんです。そんなふうに思える仕事って、なかなかないですよね。
好きなものに関わる仕事をしていると、自然と同じ趣味を持つ仲間に出会えるんです。それも、書店で働きはじめて気づいた大きな幸せのひとつ。いくつになっても、同じ作品や作家の話で盛り上がれる友人がいるというのは、本当に楽しいことです。娘からもママ、楽しそうだねって言われます」
肩の力を抜きながらも、自分の好きを軸に仕事を続けるそんな森田さんの姿勢こそが、無理なく自分らしく働くことにつながっているのでしょう。
〈撮影/星 亘 取材・文/高田真莉絵〉
森田めぐみ(もりた・めぐみ)
茨城県生まれ。「くまざわ書店・昭島店」書店員。夫の転勤に伴い各地で生活を重ねる。現在は東京で家族と猫たちに囲まれながら暮らしている。著書に『書店員は見た! 本屋さんで起こる小さなドラマ』(大和書房)。





