(『天然生活』2024年12月号掲載)
感染症にかかるのはそのときの体に必要だから
インフルエンザやノロウイルス、新型コロナウイルス……。毎年冬になるとさまざまな感染症が流行します。
この冬も例外ではない、と話すのは本誌連載でもおなじみの医師、本間真二郎先生です。
冷えや乾燥などで体調をくずしやすい季節こそ、体の内側から防御力を高めることが大切だといいます。
もうひとつ頭に入れておきたいのは「感染症にかかるのは、そのときの体にとって必要だから」ということです。
「発熱によって免疫や代謝を高めたり、咳や鼻水などで異物を外に出したり。そうやって、ウイルスを利用して体の修復や調整を行っているという側面もあります。感染症にかかることは、ある意味自然な流れともいえるでしょう」
熱や咳、鼻水などの症状は、体内にたまった有害なものを外に出し、体を浄化する働き。基本的には押さえつける必要はありません。
「もちろん、症状が辛いときは薬を使うのも手です。柔軟に対処していけばいいと思います」
最近は夏バテならぬ“冬バテ”という言葉も聞かれるようになりました。
これを防ぐのもまた、食べ物と日常生活を整えること。
そしてストレスをためず、日々を楽しく過ごすことだと本間先生。
日頃の生活習慣を見直し、元気に冬を乗りきりましょう。
免疫力を上げる生活習慣
適度に運動する

体を動かすと血流が促進され、免疫の働きをよくすることにもつながります。
「20分以上の散歩などがおすすめ。寒い日は無理をせず、室内でストレッチなどをするのもいいでしょう」
土に触れる

「土の中は人の腸内以上に微生物が豊富。免疫が正常に働くためにはこれらの微生物と接することがとても大切です」
ガーデニングなどを通じて、土に触れる機会を増やしましょう。
規則正しく生活する

生活リズムが安定すると免疫の働きもスムーズになります。
「起床、食事、就寝の時間をなるべく一定にし、朝起きたら太陽の光を浴びましょう。昼間は活動的に過ごし、夜は十分休んで」
電磁波に注意する

最近では「電磁波過敏症」という症状の人もいるなど、電磁波による健康への悪影響が報告されています。
「寝るときはスマホを枕元に置かないなど、可能な限り対策をしていきましょう」
「冬バテ」ってなに?

近頃よく聞かれるようになった「冬バテ」。
倦怠感、食欲の低下、気分の落ち込み、不眠、イライラなど、夏バテに似た症状が出るのが特徴です。
「原因としては寒さのほか、寒暖差、日照時間の短さなどが挙げられます。これらにより、自律神経の働きが乱れてしまうのです」と本間先生。
冬バテ対策には上記の免疫力を上げる生活習慣のほか、しっかり入浴する、日光に当たることもポイント。
ダラダラし過ぎず、生活にメリハリをつけることも重要です。
<監修/本間真二郎 取材・文/嶌 陽子 イラスト/はまだなぎさ>
本間真二郎(ほんま・しんじろう)
小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。2009年より栃木県那須烏山市で地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践中。2児の父。著書に『本間真二郎さんの病気にならない暮らし方』(扶桑社)、『あかちゃんからのかぞくの医学』(クレヨンハウス)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




