本をこよなく愛する本屋店主5名の、心に響いた一冊をご紹介。店主のまっすぐな言葉で本の魅力をお届けします。紹介してくれるのは、本との出合いを大切に届けているBOOK STAND 若葉台店主・三田修平さん。三田さんの心に響いた“この一冊”、今回は『光のとこにいてね』です。
三田さんが選ぶ“この一冊”
『光のとこにいてね』
いまは亡き、本好きの父が「読書の世界に引き込んでくれた」と三田さん。今回おすすめしてくれたのは、一穂ミチ著『光のとこにいてね』です。

『光のとこにいてね』(一穂ミチ著 文藝春秋)
一穂ミチさんが好きで、著作は概ね読んでいて、ストーリーテリングのうまさと文章の心地よさを兼ね備えた素晴らしい作家だと思います。
それぞれに事情を抱えた二人の少女が、すれ違いと再会を重ねながら大人になっていく本作は、数ある著作の中でも一番好きな作品で何度も読んでいます。
作中の「最初は一音ずつ、ゆっくり、しずくのようにやさしくぽろぽろと始まり、それがつながり、続き、重なり合っていく。雨の糸を束ねて編んだようなメロディだった」という描写がずっと印象に残っています。
こんなにも美しい表現を少しも嫌味なく書けるのはさすがです。
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天然生活2025年12月号では、「本屋店主の心に響いた、この一冊」を紹介しています。BOOK STAND 若葉台・三田修平さんをはじめ、魅力的なお店を営む5名に、歩みを照らしてくれた本を教えていただきました。あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。
〈文/三田修平〉
三田修平(みた・しゅうへい)
都内のさまざまな書店で経験を積み独立。2012年より日本各地をめぐる移動本屋「BOOK TRUCK」を主宰し、イベントやフェスにも出店。2022年には神奈川横浜市の若葉台団地内に「BOOK STAND 若葉台」をオープン。移動本屋や読書会などを通して、多様な人々に本との出合いを大切に届けている。
インスタグラム@bookstand_wakabadai






