• 薬膳を手軽に取り入れ、“体にいいもの”が身近な存在の中国・北京の暮らしと食事情をレポート。教えてくれたのは、中国医学の専門家で、薬膳にも詳しい鳴海美紀さん。中国国営放送局で働き、北京で暮らして4年目を迎える鳴海さんの手軽な薬膳ライフを紹介します。

    多種多様なフルーツが日々の食卓に

    北京で暮らすのは、1997年からの7年間に続き、今回で2回目という鳴海美紀さん。現在は、中国国営放送局の日本語部で翻訳や番組ディレクターとして働きながら、北京ライフを満喫しています。

    東洋医学の精神が当たり前のように日常に取り入れられている中国。体にいいものは、とても身近な存在です。なかでも鳴海さんが気に入っているのが、果物が豊富に手に入ること。

    画像: 多種多様なフルーツが日々の食卓に

    「たとえば、秋が旬の梨には肺を潤す性質があり、この季節に乾燥しがちな体を自然に守ってくれるといったように、薬膳的には地産地消で旬のフルーツを食べることが、自然に理に適ったものになります。うちの近所には小さな果物専門店もあるし、スーパーでもたくさんの種類のフルーツが並んでいるのがうれしいですね。

    中国は国土が広く、フルーツの種類も数えきれないほど。しかも流通が発達していて、どこからでも数日でお取り寄せができます。さらに送料無料のものも多く、2000km以上離れた雲南から300円くらいのフルーツを取り寄せても、支払いは商品の値段のみ。申し訳ないような気さえしますが、便利に利用しています。

    そんなこともあって、ネットで食べたことのない果物を見つけるとつい注文してしまうこともありますが、基本はなるべく自分が住んでいる季節を意識するようにしています」

    画像: フルーツの種類は多種多様。今の時期はこぶりなみかんもたくさん並んでいる

    フルーツの種類は多種多様。今の時期はこぶりなみかんもたくさん並んでいる

    画像: 雲南地方から取り寄せたパッションフルーツ。緑のものは酸味を抑えた甘みが特徴の新種

    雲南地方から取り寄せたパッションフルーツ。緑のものは酸味を抑えた甘みが特徴の新種

    画像: この日はザクロを生で絞ったジュースをいただく

    この日はザクロを生で絞ったジュースをいただく

    画像: 北京の「おいしい薬膳ライフ」レポート。体にいいが“当たり前”の食事情をのぞき見/薬膳師・鳴海美紀さん

    スーパーやコンビニでも人気!体にやさしい「山査子(さんざし)」のおやつ

    スーパーやコンビニでも、ドライフルーツやフルーツを使ったお菓子がずらりと並びます。特に「山査子」は中国人の大好物でいろいろなお菓子にアレンジして売られています。

    「山査子は消化を助け、血の巡りをよくする働きがあります。最近はダイエットや美肌にも役立つスーパーフードとしても注目されていますが、生の山査子は酸味が強く、砂糖をたっぷり使ったお菓子が多いので、食べすぎに気をつけたいですね」

    画像: 中国人が大好きな山査子。加工されたお菓子もスーパーなどにずらりと並ぶ

    中国人が大好きな山査子。加工されたお菓子もスーパーなどにずらりと並ぶ

    北京っ子の秋冬の定番、梨を煮込んだドリンク

    秋になると、あちこちの店に並ぶのが、「烤梨」と呼ばれる梨を丸ごと煮込んだドリンク。

    画像1: 北京っ子の秋冬の定番、梨を煮込んだドリンク

    白い食べ物には肺を助ける作用があるというのが薬膳の考え。白キクラゲ入り烤梨には、咳止め効果や美肌効果が期待され、乾燥が厳しい秋から冬にかけての北京の定番ドリンクになっています。こういった薬膳効果のある飲み物が季節ごとに出てくるのも、楽しいですね」

    最近は健康志向の高まりもあって、ペットボトル飲料でも薬膳効果をうたったものが人気なのだとか。

    画像2: 北京っ子の秋冬の定番、梨を煮込んだドリンク

    レストランでも白湯がスタンダード? 体を冷やさない温かいものを

    「冷え」は万病の元、という考え方が浸透しているせいか、中国では冷たいものより温かいものが好まれる傾向があります。レストランでは水の代わりに「温かい白湯」が出てくるのがスタンダード。氷入りの水は出てきません。

    スーパーの一角にある小さなフードコートには、無料のお茶が数種類並んでいて、なかには温かいレモン水もあります。

    画像: フードコートには、いろいろな種類のお茶が。このほかにもあたたかいレモン水がセットされていた

    フードコートには、いろいろな種類のお茶が。このほかにもあたたかいレモン水がセットされていた

    常温ビールを好む人も

    ちなみに、日本人にはちょっと驚きですが、中国ではビールも常温と冷たいものがあるのだとか。

    「昔はビールは常温で飲むのが普通だったので、いまでも常温を好む人もいます。レストランでは冷たいビールですか? 常温ですか?と聞かれることも多いです」

    温かい豆乳も定番

    街なかにある、早朝から営業しているお粥屋さんでは、お粥やスープ、揚げパンなどのメニューに加えて、温かい豆乳も定番。タンクから器に直接注ぐ方式で豆乳をいただきます。

    画像: 温かい豆乳をタンクから注いでそのままいただく

    温かい豆乳をタンクから注いでそのままいただく

    「お豆腐や豆乳はみんな大好きで、大豆製品が豊富ですね。昔は貴重なタンパク源だったこともあり、いまでも普段からよく食べたり飲んだりしています。私も豆乳は大好きなので、豆乳メーカーを購入して自宅で大豆からつくっています。自家製の豆乳のおいしさは格別ですね」

    画像: 鳴海さんがお気に入りの自家製豆乳。大豆の自然な甘みがしっかり味わえておいしさも格別

    鳴海さんがお気に入りの自家製豆乳。大豆の自然な甘みがしっかり味わえておいしさも格別

    後編では、鳴海さんが大好きなお茶を始め、まだまだある「おいしい×からだにいい」北京暮らしを引き続き紹介していきます。

    画像: 温かい豆乳も定番


    〈撮影/鳴海美紀、工藤千秋 取材・文/工藤千秋〉

    鳴海美紀(なるみ・みき)
    中国・北京在住。中国国営放送局の中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)で番組・記事制作の日本語担当者として、中国の“いま”を日本に発信。中国医学・薬膳にも精通しており、国際鍼灸医師A級、国際薬膳師、中医薬膳師などの資格を持つ。



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