手軽に手に入る、北京の充実した薬膳フード
薬膳というと難しいイメージがありますが、体質に合わせて旬のものをいただくことで健康を保つというのが基本の考え方。そんな薬膳的ルールを簡単に取り入れられるのが、いまの中国です。
お惣菜や漬物にも大活躍の「にんにく」
たとえば、鳴海さんが日本にお土産に持ち帰って、一番喜ばれるのが「黒にんにく」。疲労回復、抗酸化作用、免疫力向上、血行促進、精力増強などの効能が期待できる健康食品です

日本では高価な黒にんにくもお手軽な値段で手に入る。写真の商品は250gで500円弱

お店のお惣菜コーナーにはにんにくの漬物も並ぶ
「中国では普段からにんにくをたくさん食べます。生にんにくを甘酢に漬けた『糖蒜』は北京の定番。生や炒めたものより、においも気になりません。火鍋を食べながら、丸ごと1個はぺろっと食べてしまいます」
自然の力で元気を取り戻す、薬膳ドリンク
「手軽な薬膳」ということでいえば、生薬のドリンク剤なども、いろいろな種類が楽しめます。
「私は毎朝、赤枸杞(赤いクコの実)ドリンクを1本、夜は黒枸杞(黒いクコの実)ドリンクを飲んでいます。グミ科の植物『サジー』の原液を炭酸で割って飲むのもお気に入り。日本のドリンク剤はカフェインの作用で興奮させてパワーを感じさせるものが多いですが、薬膳系のドリンクは抗酸化や抗炎症作用などがあり、長期的に体をサポートしてくれるものが多いように思います」

ネットショップで購入した薬膳ドリンクセット

高麗人参とクコの実のドリンクパックで、瓶入りより安価。クコ+人参で疲労回復、免疫アップの作用があるので、疲れた時や風邪が流行っているときなどに飲んでいる
高級食材の「燕の巣」も普段の食事に取り入れて
冷蔵庫には高価なイメージの燕の巣をシロップ漬けにした瓶もあります。値段はピンキリですが、私は1瓶300円ほどのお手頃なものを、ヨーグルトにかけてフルーツを添えて食べたりしています。
「美肌食材の燕の巣はタンパク質も豊富なので、朝食にはぴったりですね。白キクラゲは“貧乏人の燕の巣”とも言われる食材。鍋の具材にしたり、シロップ煮などで取り入れています」

美容によい燕の巣や白キクラゲも普段の食事に簡単に取り入れて

心と身体をホッとさせてくれる中国式ティータイム
漢方薬局内にある薬膳カフェ
中国ではいたるところに漢方薬局があります。大手漢方薬局のチェーン店では、鳴海さんの家の近所に、薬膳カフェもオープン。タブレットに顔と舌の写真を読み込ませて、体質を診断。いくつか並んでいる漢方茶の中から、自分の好みや体質や体調によって、選ぶことができます。

体によさそうな煮出したお茶が並ぶ薬膳カフェ「榕樹家中医診所」

「身体のメンテナンスに気軽に通える点も、気に入っています」
自宅で楽しむ中国式ティータイム
自宅でもさまざまなお茶を楽しんでいるという鳴海さん。中国で最もよく飲まれているのは緑茶ですが、そのほかにもさまざまな種類のお茶が手に入ります。
お茶を淹れるときは、急須の他に蓋付きの器“蓋碗(がいわん)”を使う方法も。蓋をずらして筒型の茶海に注ぎ、小さな湯呑みに移し替えます。蓋に移った香りや、飲んだあとの湯呑みの香りも楽しみます。

オフィスでは、マグカップに直接茶葉を入れて、お湯を注ぎ足しながら飲む人も多いとか


いろいろなお茶を気分に合わせて飲むのも楽しいひととき
ちなみにお茶の飲み方も地域によって違いがあるそう。潮州地方では一口サイズの小さな茶器を使い、お茶の香りを存分に楽しみます。

潮州料理の店「潮粥会」で出てきたお茶セット
自然の力を上手に取り入れながら、「おいしくて、からだにやさしい」がつまっている。それが北京の日常なのです。

〈撮影/鳴海美紀、工藤千秋 取材・文/工藤千秋〉
鳴海美紀(なるみ・みき)
中国・北京在住。中国国営放送局の中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)で番組・記事制作の日本語担当者として、中国の“いま”を日本に発信。中国医学・薬膳にも精通しており、国際鍼灸医師A級、国際薬膳師、中医薬膳師などの資格を持つ。

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