本をこよなく愛する本屋店主5名の、心に響いた一冊をご紹介。店主のまっすぐな言葉で本の魅力をお届けします。紹介してくれるのは、本と静かに向き合える余白の時間を大切にするtwililight店主・熊谷充紘さん。熊谷さんの心に響いた“この一冊”、今回は『続きと始まり』です。
熊谷さんが選ぶ“この一冊”
『続きと始まり』
読み継がれてほしい本を教えてくれた、熊谷さん。今回おすすめしてくれたのは、柴崎友香著『続きと始まり』です。

『続きと始まり』(柴崎友香著 集英社)
この店を始めたのは2022年3月11日。なぜ3月11日なのかと言えば、私が勤めていた会社の最終出社日が2011年3月11日だったから。
東日本大震災が起きたあの日、すべての予定が変わった。これをきっかけに日本が変わればと願った。
あれから10年が経ち、節目のような形で区切りをつける風潮になったが、まだ何も終わっていないのに、新型コロナウイルスや東京オリンピックが始まって、忘れていくばかりだと思った。
だから私はいろいろな上に積み重なっているということを忘れないために、3月11日をオープン日にした。
『続きと始まり』は、いま自分が経験していることは過去から繋がっているし、いま自分がやることは未来に繋がっていることを教えてくれる。
そう考えると、出来事との距離感の違いはあれど、他人事のことなんて本当はないのだと気づく。
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天然生活2025年12月号では、「本屋店主の心に響いた、この一冊」を紹介しています。twililight・熊谷充紘さんをはじめ、魅力的なお店を営む5名に、歩みを照らしてくれた本を教えていただきました。あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。
〈文/熊谷充紘〉
熊谷充紘(くまがい・みつひろ)
東京・三軒茶屋で本屋・ギャラリー・カフェを併設した「twililight」を営む。2011年3月11日の震災を機に会社員を辞め、編集やイベント企画を経て、2022年3月11日に店舗をオープン。選書・執筆・出版を手がけ、本と静かに向き合える余白の時間を空間に反映する。自社で復刊した「体の贈り物」はこの秋重版に。
HP:https://twililight.com/
インスタグラム:@twililight_






