(『天然生活』2021年9月号掲載)
誰とでも分かち合える食卓のある台所(スーダン)
ほぼ初対面の異国の家庭を訪ねてきた岡根谷さんにとってうれしい瞬間は、ともに料理をしたり食事をしたりするうちに、自分の居場所を感じるとき。

スーダンで訪ねた家の台所。6畳ほどの広さがあり、さまざまな人が行き交った
アフリカのスーダンを訪れたときも、その喜びを体感しました。「スィニア」という道具のおかげで、現地の人たちにすんなりなじむことができたのです。スィニアは大きなお盆。スーダンでは「持ち運べるテーブル」として使われるのが特徴です。

近所に住む親せきの子どもたちが庭に集まってスィニアを囲む。人が集うところにスィニアが置かれ、そこが食卓になる
「台所の片隅でも庭でも、スィニアを囲んで座れば食卓になります。ポータブルなうえ、手食文化でカトラリーがいらないから人数が増えてもまったく問題ないんです。
実際、食事どきに親戚や近所の人が訪ねてきてスィニアを囲むことがよくあるので、日本から来た私のことも当たり前に受け入れていさせてくれた。ごく自然に人が加わることができる懐が深い食卓は、とても魅力的でした」

スィニアはサイズがいくつかあり、だいたいの人数で使い分ける。よく使うのは直径1.2mほどのもの。5~6人で囲むのにちょうどいい大きさ。

この日の食卓は4人から7人に増えたという。カトラリーや取り皿、椅子を使わないから伸縮自在
〈撮影/岡根谷実里 取材・文/熊坂麻美〉

岡根谷実里(おかねや・みさと)
1989年生まれ。東京大学で土木工学を学び国際協力を志すなかで「人を笑顔にする料理の力」を知り、現在の道に。世界中の家庭を訪れて一緒に料理をし、そこから見えた暮らしや社会の様子を発信している。全国の小中高校への出張授業も精力的に行う。近著に「世界のお弁当とソトごはん」(三才ブックス)、「世界ひと皿紀行 料理が映す24の物語」(山と溪谷社)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



