(『更年期の不調の原因は栄養不足が9割 』より)
更年期の不調を左右する「睡眠の質」
眠っている時間の長さだけでなく、「眠りの質」もとても大切です。いくら長く眠っても、朝起きたときに疲れがとれていなかったり、ぐっすり眠れた感じがしなかったりすると、心身の回復にはつながりません。
ところが更年期になると、「なんだか寝つきが悪くなった」「夜中に何度も目が覚める」といった変化を感じる方が増えてきます。年齢とともに睡眠時間が短くなる傾向は、統計的にも確認されています。
睡眠の質を高めるポイントは、「脳の興奮をしずめる」ことです。日中は活動モードになっている脳を、夜には自然と休息モードに切り替えていくために、交感神経(体を活動させる神経)を必要以上に刺激しない過ごし方を心がけましょう。
ぐっすり眠るための、夜の過ごし方
とくに気をつけたいのは「目からの刺激」です。
夜遅くまでスマートフォンやパソコンの画面を見たりすると脳が興奮したままとなり、眠りにつきにくくなります。そのため、寝る前にはなるべく静かに過ごし、脳と体をゆるやかに落ち着かせるよう心がけましょう。
また、「入浴」は質の良い睡眠を促す大切な習慣のひとつです。ぬるめのお湯に短時間つかることで体の内部から温まり、入浴後に体温がゆるやかに下がることで眠りやすくなる効果があります。
ただし、更年期世代には高血圧や動脈硬化などの生活習慣病が見られることも多いため、「長湯」や「熱すぎるお湯」は避けたほうが安全で安心です。
入浴後には、軽いストレッチや深呼吸を取り入れてみましょう。お気に入りの音楽を流しながら、ゆったりと体をほぐす時間を持つことで、自然と眠りやすい状態へと導いてくれます。
※ 本記事は『更年期の不調の原因は栄養不足が9割』(あさ出版)からの抜粋です。
〈イラスト/イケマリコ〉
梶尚志(かじ・たかし)
梶の木内科医院院長(岐阜県可児市)、七夕医院名古屋院総院長(愛知県名古屋市)、総合内科専門医、医学博士。
1964年、富山県生まれ。富山医科薬科大学(現・富山大学)医学部医学科卒業。総合内科専門医、腎臓専門医として年間約5万人の患者を診察する中で、通常の診察では解決できない「体の不調」に栄養学的なアプローチから治療と生活指導を行い、改善に導いている。著書に『え、私って、栄養失調だったの?』『え、うちの子って、栄養失調だったの?』(共にみらいパブリッシング)がある。
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