“好きなものだけ”で、気軽に楽しく収集
フリーの雑貨デザイナーで、多彩な“紙もの”を収集する宇田川一美さん。「窓付き封筒」のコレクターとして、テレビ番組「マツコの知らない世界」「タモリ倶楽部」に出演したことも。
そんな宇田川さんに、なぜ紙ものを集めるのか、「窓付き封筒」に魅了されるわけ、楽しく収集するコツについて、お話を聞きました。

雑貨デザイナー、ゆる文字プランナーとして活躍する宇田川一美さん。紙もの収集歴は20年以上
―どうして、紙ものを集めるようになったのでしょうか?
もとは雑貨メーカーで、文房具や雑貨の企画・デザインをしていたんです。当時の雑貨は、海外の封筒や飴の包み紙などのデザインを取り入れたものが流行していて。そこで、デザインの参考にしようと、海外の紙ものを集めはじめたのがきっかけですね。

「海外のデザインのちょっとしたあしらいやロゴマークを見るとテンションが上がります」と宇田川さん
海外の商品のタグを切り抜いて集めたり、海外に行ったら機内食のジャムのふたやお砂糖のパッケージを持ち帰ったり。
初期の頃は、そうやって海外のデザインばかりに目を向けていましたが、やがて「日本のデザインもかわいいじゃない!」と思うようになり、日本の紙ものも集めるようになったんです。
その頃には、普段の暮らしでふと手にする紙もののなかにも、ときめくものがたくさんあるのに気づいて。日々、家に届く郵便封筒もそのひとつです。最近は、スーパーに並ぶ野菜や果物のラベルがお気に入り。紙もの収集は、いまではライフワークです。
―紙もののなかでもいち推しは「窓付き封筒」だそうですが、どんなところに惹かれますか?
「窓付き封筒」は、役所や銀行などから送られてくる業務用の封筒。ちゃんと役目があり頑張って仕事をしている紙で、そういう“働き者の紙”が大好きなんです。

「窓付き封筒のなかでも、裏地紋入りで窓がグリシン紙なら最高」と宇田川さん

さらに惹かれるポイントは、「窓付き封筒」の内側に印刷されている裏地紋。請求書や領収書を入れるものなので、透け防止のための工夫なのですが、よく見るとデザインのこだわりを発見したりして。
たとえば、裏地紋に企業名がデザインされているものでいうと、企業名が左右反転してあり封筒の外側からちゃんと読めるようになっていたりとか。また、折り目でわざわざ印刷の版を変えているものがあったりするんです。

裏地紋には、模様や企業名、ロゴなどがあしらわれている。素敵な柄がいっぱい


誰も気に留めないようなところにまで気を配ってデザインしている、そんなデザイナーの心意気にぐっときますね。
―紙ものを楽しく収集するコツはありますか?
私は、あれもこれも集めて制覇するいわゆるコレクターではなくて。「これ、かわいい!」と思うものだけをとっておきます。
映画などのチラシは、タイトルの入れ方や色の組み合わせなど、どこか惹かれるものがあってわくわくするかで選別していますね。自分なりの基準を持つと、眺めるのが楽しくなりますし、楽しく収集できると思いますよ。
―コレクションを集めたZINE『収集百貨』を制作されていますが、どんなメンバーが集まっていますか?
カメラマンやデザイナーとして活動する仲間4人で制作しています。私が「紙もの」、ほかはそれぞれ「マグネット」「プラスチックもの」「缶&領収書」を集めている、全員がコレクターですね。溺愛するコレクションをみなさんとシェアできる大切な場となっています。

『収集百貨』は年に1回発行。「『これ持ってる!』とか見つけてもらったり。購入された方に『癒しになった』といわれることが多いです」と宇田川さん
―偏愛ぶりがあふれていて楽しいですね。今後もネタはつきないですか?
まだまだいっぱいあります! ZINEのイベントなどにブースを出して販売していますが、人との出会いも楽しくて。「60歳、70歳になっても『収集百貨』をつくり続けて、そんな人との出会いを老後の楽しみにしたいね」って、メンバーで話をしています。
〈撮影/星 亘 取材・文/諸根文奈〉
宇田川一美(うだがわ・かずみ)
ゆる文字プランナー、雑貨デザイナー。メーカーと共同で雑貨や文房具の商品企画デザイン、マーケティング、手書きに関する講座監修などに携わる。著書に『ちょいワザ文具術』(ポプラ社)、『書き込み式 ゆる文字練習帖』『ガラスペンでゆる文字』(ともに誠文堂新光社)、他多数。ものへの愛が詰まったZINE『収集百貨』の制作メンバー。
インスタグラム:宇田川一美@udagawa_k ゆる文字@yurumoji



