(『天然生活』2025年1月号掲載)
ひとつの言葉が、生き方そのものを支え、生きるちからに
さて、「今日もていねいに。」ということばはいったいなんだったのか。
たどり着いたひとつの理解は、どんなことにも感謝すること。よいこともそうでないことも、それはいつかきっと自分に役に立つ経験や学びになるのだろうから感謝をする。
その感謝から生まれる所作や発言、行動のあらわれが、ていねいというささやかな美ではなかろうか。そうだ、ていねいという美しさは感謝から生まれるんだという納得ができた。
それからまた月日が経ち、感謝ということばを起点にさらに思考を続け、あ、こうかもしれない、と思い至ったのが「ていねいとは、現実としっかり向き合うこと。今、目の前にあることをひとつひとつ乗り越えていくこと。うまくやろうとしなくていい。自分の時間を生きること」
まだ先があるかもしれない。いや、きっとあるだろう。こんなふうに、ひとつのことばが自分の生き方そのものを支え、生きるちからとなっている。これからも日々の暮らしの中で見つけたことばを、自分なりにていねいに伝えていけたらと思っている。
〈イラスト/松栄舞子〉
松浦弥太郎(まつうら・やたろう)
エッセイスト。クリエーティブディレクター。暮しの手帖編集長を経て、「正直、親切、笑顔」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書に『今日もていねいに。』(PHPエディターズ)『しごとのきほん くらしのきほん100』(マガジンハウス)など多数。新刊は『松浦弥太郎のきほん』(扶桑社)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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50代半ば・松浦弥太郎の新しい生き方
あれやこれや、せっせとのんびり、考えたり悩んだりのありさまを、 みなさんに見たり読んだりしてもらいたくて、作りました。いわば、松浦弥太郎による、松浦弥太郎のきほんです。(はじめにより抜粋)
50代半ばを過ぎて、日々前向きに暮らしてはいるものの、漠然とした不安やさみしさがあるといいます。
自身が撮影した写真とともに、自分を客観視しながら、いまの「松浦弥太郎」を等身大で綴った一冊。
装丁は「ミナ ペルホネン」のビジュアルブックをはじめ、数々の図録や写真集の装丁・造本を手掛けるサイトヲヒデユキさんによるもの。美しいデザイン、紙の手触り、写真の重厚感など、紙の本ならではの世界観もお楽しみください。





