これだけは押さえておきたい、防災アイテム5点
1 香り

マスクをしていても、さまざまなにおいが漂う被災地。好きな香りをかげば気分も落ち着く
防災ポーチにアロマオイルが入っていることを、意外に思った方も多いかもしれません。でも辻さんは、「香りはとても大事」だといいます。
「おいしそうなにおいや洗剤のさわやかなにおいなど、そうした“幸せな香り”は被災地にはありません。下水やほこり、さまざまなものが混じったにおい……。避難所では人の体臭も重なります。そんな環境の中で、自分の好きな香りがあると、ほんの3秒で気持ちを切り替えられるんです」
辻さんは被災地に支援に入ると、避難所の方にアロマオイルを染み込ませたティッシュを渡すようにしているそう。すると、こわばっていた表情がふっと緩むといいます。
「女性や子どもはオレンジスイート、男性はバニラを好む傾向がありますが、基本は“自分が落ち着く香り”でOK。ふだんから使って、『この香り=安心』というスイッチをつくっておくことが大切です」
2 のどあめ

防災ポーチに欠かせないのどあめ。お好きなものを携帯して
のどあめをすすめる理由は、カロリー補給や気分転換だけではありません。
被災後は、想像以上にほこりが舞います。その中には有害物質が含まれていることもあり、吸い込むと肺炎につながることも。実際、阪神・淡路大震災のあとには、肺炎で亡くなった方が多くいました」
もちろん、ほこり対策にはマスクも必要だけれど、のどを潤すことはとても大切なのだそう。
「のどの潤いが保たれると、のどから肺までの気道の内壁にある『せん毛』の運動が促され、異物を外に出しやすくなるのです。のどあめをなめると唾液がでますから、その点でも感染症リスクを下げることができます」
3 LEDライト

消しゴムのように見えるのはなんとLEDライト。小さくてもパワーは抜群!
暗闇はそれだけで不安を増幅させます。ライトは防災ポーチのマストアイテムですが、辻さんが選んだのは、少量の水分で光を放つLEDライト。
「雨水や唾液など、ほんの少しの水分があれば点灯します。8畳ほどの空間を照らせる光量があり、しかも約1週間持続。電池も充電も不要なので、防災ポーチ向きなんです」
4 防災笛

防災用にもつなら右側のタイプの笛を。左側のタイプは肺活量が必要なうえ、SOSと気づかれにくいので要注意
閉じ込められたとき、声を出し続けるのは体力を消耗します。そんなときに役立つのが防災笛。ただし、音が出れば何でもいいわけではありません。
「交通整理やスポーツなどで使われるような、玉が振動して音が鳴るホイッスルは肺活量が必要ですし、日常的に聞く音なのでSOSと気づかれにくい。一方、防災用の笛は少ない息でも鳴り、人の耳に届きやすい音域なんです」
辻さんは100円ショップで購入したものと、神社で購入した御祈祷済みの防災笛を用意。「中に緊急連絡先などIDを記録する紙が入れられる笛がおすすめです」
5 ペットボトルのキャップ

サイズの異なるキャップを用意しておけば、避難所で配られるペットボトルにも合わせて使える
意外なアイテムといえば、ペットボトルのキャップ。しかも、それぞれ穴がひとつ開けられています。
「被災して断水したら、限りある水を大切に使わなくてはなりません。キャップを取り替えれば、ペットボトルが節水シャワーになりますし、簡易ウォシュレットとしても使えます」
メーカーごとにキャップの口径が違うため、辻さんはよく飲む主要メーカーのものを3つ用意。キャップだけならかさばらずに持ち歩けます。
本記事は『最強版プチプラ防災』(扶桑社)からの抜粋です
〈撮影/星 亘 取材・文/鈴木靖子〉
辻 直美(つじ・なおみ)
国際災害レスキューナース。一般社団法人育母塾 代表理事。
国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。その後、赴任先の聖路加国際病院で地下鉄サリン事件の対応に従事し、災害医療の道へ。看護師歴35年、災害レスキューナースとしては31年活動し、被災地派遣は国内外合わせて30ヶ所以上。
現在はフリーランスの看護師として、要請があれば被災地で活動を行うほか、防災教育にも注力。国際災害レスキューナースとして、TBS「ひるおび」、TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、ベイエフエム「ミラクル」、ABC「おはよう朝日です」、MBS「よんチャンTV」など数多くの媒体に出演。被災地での過酷な経験をもとに、"本当に使えた"防災の「自衛術」を多くの人に知ってほしいと、メディアを通じて啓もう活動を行うとともに、大学や小中学校で教えるだけでなく、企業や一般向けの防災講座も行なっている。
* * *
TV、ラジオ、雑誌などメディアに多数出演の国際災害レスキューナース・辻 直美さんが国内外30か所以上のレスキュー経験で得た最新の知見を一冊にまとめました。
阪神・淡路大震災で実家が全壊し、防災に目覚めた著者・辻直美さん。2019年の大阪府北部地震では震度6弱を経験しましたが、100円ショップのアイテムを駆使して「震度6弱に耐えた家」をつくりあげていたため無傷。同じマンション・同じ間取りの隣の家は住人が大腿骨骨折の重傷を負い、部屋は壊滅。原状復帰に60万円もかかったそうです。
こうした経験を生かし、お金をかけずに命を守る方法を余すところなく伝授します。
「プロの備蓄品30品目リスト」、「家にあるものでできる防災リュック」、「ペットの命を守る防災術」、「生死を分ける被災時のアクション」、「在宅避難を可能にする準備」など、“あなたとあなたの家族の命を守る”最新防災情報が満載です。





