(『天然生活』2025年4月号掲載)
春は“肝”を意識してゆるゆる、伸び伸び
毎年、春になるとなんだか調子が出ない……。そんな人は多いのでは?
東洋医学において、春は五臓のうちの「肝」をいたわりたい季節。肝は血を貯蔵し、気の流れや自律神経を調節して、感情や全身の機能がスムーズに働くように整える機能をもちます。
国際中医薬膳管理師の久保奈穂実さんによれば、春の不調は、この肝の働きが弱ることが主な原因だそう。
「春は寒暖差や新生活での環境の変化からストレスがたまり、肝の機能が落ちやすいのです。肝が弱ると、イライラやほてり、気持ちの沈み、目の不調や睡眠トラブルが生じやすくなります。肝は樹木にたとえられ、木が枝葉を伸ばすように、私たちも明るく伸び伸びと過ごすことが、とても大切です」
肝とは?
東洋医学で肝は、肝臓そのものではなく、血をため、気(生命エネルギー)を全身にめぐらせて、自律神経や情緒をコントロールする臓腑のこと。目、爪、筋などに深く関わっている。

風が強くなる春は、風の邪気「風邪(ふうじゃ)」が体の中に入って、めまいや痙攣(けいれん)なども起こりやすく、冬の間にたまった老廃物の影響で、肌荒れやかゆみなどの炎症反応も出やすいそう。
こうした春に多い症状は、毎日の食事や習慣で和らげられると、久保さん。
「食事で意識したいのは、肝の働きを助ける酸味、イライラやほてりを鎮める苦味、気をめぐらせる力をもつ香りの食材をとること。肝のパワー源となる血を補う食材、自然な甘味をもつ食材で胃腸を整えることもポイントです。ただし酸味は、量が多いとキュッと体が縮こまって、伸びやかさが妨げられることも。少しずつ取り入れるようにしましょう」
生活面では、肝の大敵であるストレスをためないことが重要。
「まじめで完璧主義の人ほど、春は不調が出やすいです。心と体をゆるめ、伸び伸び、できる範囲の養生をこつこつ重ねていくことで、調子は上向いていきますよ」
春の心と体の揺らぎチェック
ひとつでもチェックがついたら、春の養生を始めましょう。
- イライラしやすい
- まぶたがピクピクする
- 目が充血する
- あちこちに痛みやかゆみがある
- 足がつる
- こめかみあたりに頭痛がある
- 口が苦い
- よく眠れない
- 上半身がほてる
- 気持ちがふさぐ
〈監修/久保奈穂実 取材・文/熊坂麻美 イラスト/須山奈津希〉
久保奈穂実(くぼ・なおみ)
重なる不調を漢方薬で克服した経験から、国際中医薬膳管理師や漢方アドバイザーの資格を取得。「成城漢方たまり」で年間約2,000人の漢方相談を行う傍ら、日々の養生法や薬膳レシピをSNSで発信する。薬膳の基本をやさしく紹介する著書『おいしい漢方365』(世界文化社)が好評発売中。
インスタグラム@naomin_yakuzen
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




