• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。猫のいる暮らしでの花の楽しみ方。

    春の気持ちを浮き立たせるもの

    春になると、心が少しだけ浮き立ちます。そのきっかけは、たいてい、とても小さなものです。

    なかでも私の気持ちをそっと持ち上げてくれるのが、お花。

    カフェに入ると、テーブルの端に小さな花が置いてあったり、猫グッズを買いに行くホームセンターにも、季節の花がずらりと並んでいたりします。

    私は、花が好きです。

    本当は、家の中にもいけたい。花瓶に花を挿して眺める暮らしに、ずっと憧れがあります。

    画像: 庭の沈丁花

    庭の沈丁花

    猫と暮らすときの「花選び」

    でも、猫と暮らしていると、それは簡単なことではありません。

    猫にとって危険な植物があると知ってから、私は「好き」だけでは選ばないようになりました。

    だから今は、家の中に無理に花を置かず、庭にある唯一の花、沈丁花を眺めてお茶を飲みます。

    少しだけ網戸を開けて、甘い香りが風にのって届くと、猫たちも窓辺に集まり同じ方向を見ています。

    触れない、口にしない。ただ一緒に見る。それだけで、十分だと思えるようになりました。

    花のある生活に夢はあるけれど、猫と一緒に、同じ花を見る時間も、これはこれで、ちゃんと花のある暮らしですよね。

    画像: 窓辺は猫に大人気

    窓辺は猫に大人気

    猫と安心して楽しむ、植物との付き合い方

    外で眺める花も、立派な選択
    沈丁花のように、猫が口にしない距離で楽しむ花もあります。香りや色を「見る・嗅ぐ」だけでも、春はちゃんと届きます。

    ・室内に迎えるなら、猫に無害とされる植物を

     たとえば、

    ・ガーベラ

    ・胡蝶蘭

    ・アレカヤシ

    ・テーブルヤシ

    どれも比較的、猫に安全とされ、部屋をやさしく明るくしてくれます。

    ・ハーブは“少量・手の届かない場所”で

    バジル、ローズマリー、タイムなどは猫に無害とされますが、いたずら防止のため、高い棚や吊るす形が安心です。

    ・迷ったら、迎えない勇気を持つ
    ユリ類やチューリップなど、美しくても猫に危険な植物は多くあります。

     「かわいい」より「無事でいてほしい」を選ぶのは、愛情です。

    ・フェイクグリーンでいやしを
    最近は、本物そっくりのフェイクフラワーやフェイクグリーンも沢山あります。

    これなら、水をこぼされる心配もありませんし、少し変化球でお皿に飾る……など楽しみ方は無限大。

    画像: うちのグリーンはフェイクグリーン

    うちのグリーンはフェイクグリーン

    ・花への憧れは、しまわなくていい

    今は外で眺めるだけでも、暮らしは十分に豊か。植物との距離感も、猫との時間と一緒に、少しずつ変わっていきます。

    春の花を、ガラス越しに猫と並んで眺めながら。それだけで、今日の心は、少しだけやわらぎます。

    多くを望まない。それも猫に教わった、大きなしあわせのあり方です。

    画像: 窓辺で外を猫と眺める、のんびり時間

    窓辺で外を猫と眺める、のんびり時間

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    画像: 猫と安心して楽しむ、植物との付き合い方

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。

    ブログ「ちいさなチカラ」



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