• 植物の仕事をしながら都心で家庭菜園を営む、フラワー&グリーンスタイリストのさとうゆみこさん。植物や野菜、土と向き合う暮らしのなかで「小さな循環」を実践しています。今回は、さとうさんが愛用するコンポストの堆肥の使い方を紹介します。

    コンポストから出た堆肥の使い方

    今回はコンポストからできた「堆肥」の活用方法についてお話しします。

    まずは言葉の整理をしておきましょう。

    「コンポスト(compost)」という言葉は、容器や仕組みを指すだけでなく、でき上がった「堆肥」そのものや、コンポストを作る行為まで含めた広い意味で使われます。

    日本では容器や仕組みを「コンポスト」、そこででき上がったものを「堆肥」と呼び分けるのが一般的ですので、ここでもそのように使い分けることにします。

    キッチンの生ごみ用「キエーロ」から出た堆肥は?

    画像: 葉山在住の方が考案された、生ごみを分解させるための蓋付きのコンポスト「キエーロ」

    葉山在住の方が考案された、生ごみを分解させるための蓋付きのコンポスト「キエーロ」

    分解が速い仕組みの「キエーロ」は、生ごみを毎日入れてもすぐにカサが減り、堆肥が増えてあふれてしまうということはほとんどありません。「生ごみは処理したいが、堆肥は不要」という方にはむしろメリットのひとつだと言えるでしょう。

    一方で、私のように「市販の資材を使わず、身近なもので循環させたい」と考えるなら、野菜や植物を育てるうえでの貴重な資材として活用できます。

    どのコンポストでも共通しますが、まずは「しっかり分解したもの」を使いましょう。

    色は黒っぽく、嫌な臭いがせず土の香りがするものが目安です。分解しきれなかった大きな骨などは見た目的に取り除きますが、細かな野菜の繊維などは残っていても問題ありません。

    画像: キエーロ堆肥は袋などに分けて寝かせておくと便利

    キエーロ堆肥は袋などに分けて寝かせておくと便利

    私は普段から畑であまり肥料を与えないようにしていますが、養分が必要な時は畝間(うねま:畑で土を盛り上げた畝と畝の間の通路部分)にばら撒いたり、野菜の株元にひと握り置いたりしています。

    このとき大事なのは、あくまでも「土に混ぜるのではなく、土の上に載せる」ということ。載せるだけに留めることで、植物の根に直接的な刺激を与えず、養分を緩やかに浸透させることができます。

    私にとって、コンポストはごみを処理するのが主な目的であり、市販品のように成分バランスを管理しているわけではありません。そのため、直接土に混ぜ込まないという使い方は、リスクを避ける意味でも理にかなっているのです。

    ベランダでのプランター(鉢植え)も同様に、土の表面にひと握り載せるだけかまいません。土が年々減ってきた場合は、増し土として薄く載せてもいいですね。堆肥には養分も炭素も多く入っているので、入れ過ぎない程度に少量ずつ使ってみください。

    ただし、インドアプランツ(観葉植物)はコバエなどの原因になる場合があるので、初心者は使用を避けたほうが無難です。

    コンポストの中の土が不足したら?

    キエーロは中の堆肥がたくさん増えない(出来ない)仕組みのため、もし大量に取り出したら分解の土台となる土が不足してしまいます。その場合は畑の土などを戻し入れて補うようにします。

    畑や庭がない方は、プランターの古い土を活用しましょう。底石などがあれば除きますが、古い根っこなどは有機物なので生ごみと一緒にそのまま分解されていきます。

    畑仕事用「枠組み式コンポスト」から出た堆肥は?

    画像: DIYで製作したシンプルなつくりの「枠組み用コンポスト」

    DIYで製作したシンプルなつくりの「枠組み用コンポスト」

    植物残渣がメインである「枠組み式コンポスト」は、キエーロに比べると養分が少ないので、市販の植物性堆肥のような「土」に近い質のものができ上がります。

    まずは目の粗いふるいにかけて、分解できなかった枝などを除きます。取り除いた枝はそのまま通路部分に適当にばら撒きます。そこを歩いて踏むたびに枝がパキパキと折れて、次第にウッドチップのような感じに。この素敵なリサイクルのアイデアが生まれたときは本当にうれしかったです。

    画像: 1年以上経った、ふるう前の堆肥

    1年以上経った、ふるう前の堆肥

    画像: コンポスト前は毎日踏み入れる場所。枝チップのおかげで靴も汚れずに快適です

    コンポスト前は毎日踏み入れる場所。枝チップのおかげで靴も汚れずに快適です

    画像: 指で折れるほど朽ちてきている

    指で折れるほど朽ちてきている

    私は、ふるった堆肥は培養土として、プランターの植え込み、菜園の苗作りに使っています(使用目的に応じて、市販のもみ殻くん炭や赤玉土を入れたりする場合もあります)。

    市販の培養土や育苗土に比べると機能的に劣るところはあるかもしれませんが、私は「土を買わなくていい」ということがとても暮らしにやさしい点だと感じ、気に入っています。私はこの堆肥を使ってたくさんの野菜を収穫できています。

    もしガーデニングや畑の初心者の方であれば、最初のうちは、一部のものに試しに使うことをおすすめします。市販のものもうまく組み合わせながら、様子を見ていきましょう。

    画像: 元気に育つカリフラワーとチンゲン菜の苗。枠組み式コンポスト堆肥は肥料分が少ないので育苗もできる

    元気に育つカリフラワーとチンゲン菜の苗。枠組み式コンポスト堆肥は肥料分が少ないので育苗もできる

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    コンポストはゴミを処理してくれるだけでなく、出来上がった堆肥もしっかり有効活用できます。コンポストのおかげで、緑のある暮らしがより楽しくなるかもしれません。



    画像: 畑仕事用「枠組み式コンポスト」から出た堆肥は?

    さとうゆみこ
    フラワー&グリーンスタイリスト。「green & knot」主宰。フラワーショップやインテリアショップ勤務、専門学校の講師を経て、現在はフラワーコーディネイトやグリーンアドバイザーのほか、植物にまつわる幅広いジャンルで活躍。自宅で定期的に行なうフラワーレッスンも好評。都心の家庭菜園で、小さな循環型暮らしを模索中。
    インスタグラム:植物のこと @yumikosatooo 畑と土のこと @soillife



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