団地への引っ越しが人生の転機に
レトロな雰囲気の木の壁と床に、古家具やヴィンテージの品が調和する団地の一室。
ここは、帆布からほどいた糸で手刺繍をほどこす布作品を手がけるテキスタイルアーティスト、タシロユミコさんの住まいです。
2年半前に、郊外にある築58年の団地をフルリノベーション。夫のリョウタさんと愛猫のおイモちゃんとともに都内から移り住みました。

2023年の初夏に越してきた。家のインテリアはタシロさんが担当。好きなものに囲まれた生活を送る
もとは不動産業界の仕事に携わっていたタシロさんですが、団地への引っ越しと新しい暮らしをきっかけに、テキスタイルアーティストへと転身を遂げたのだとか。
そんなタシロさんに、この団地を見つけた経緯、作家になったきっかけ、暮らしの楽しみなどについて、お話を聞きました。
人との縁も重なって、見知らぬ街へ
夫婦そろってお酒好き。友人たちと遊んだり居酒屋で飲んだりするのが休日の楽しみでしたが、コロナ禍で生活は一変。“居酒屋でお酒”が叶わない代わりに、新しいレジャーとして思いついたのが、電車に乗って行ったことのない街に行き、散歩することでした。
「あるとき、最寄り駅と同じ沿線にあるこの街に来て。下調べで団地があるのを知り、行きたい店が近いのもあって周辺を散歩してみたんです。団地を見ると、建物がモダンでかっこよく、棟と棟の間隔もゆとりがあって。すごくいいところだねって話しました」

かつてインテリアの勉強をしていたタシロさん。ディスプレイのセンスもさすが
気になって翌日、物件情報を調べると、その団地は好条件がそろう魅力的な物件だと知ります。手が届くお値打ち価格で、耐震補強工事が完了、建物は古いけれど住宅ローン控除も受けられる――。
それまで引っ越しも家を買う予定もまったくなかったものの、魅力的な条件に気持ちが傾きます。夫と内見に訪れると、思ったとおりのいい住まい。さらに、人との出会いも決め手になりました。
「団地に隣接する商店街に、古道具屋さんなど個人店がいくつもあって。話をすると店主たちが私たちと同年代とわかりました。物件を見にきたと話すと、『じゃあ、引っ越しておいでよ』といってくれて。引っ越す前には、もう何十人と知り合いができていました」

「ご縁だから引っ越すしかないねって。気づいたらローンを組んでいて、それぐらい自然な流れでした」とタシロさん

視線の先のいたるところにグリーンを配置した、清々しい空間
【タシロさんイベントのお知らせ】
タシロユミコ個展 『めぐる糸と』
会期:2026年4月24日(金)~5月11日(月)※期間中、金・土・日・月のみ開場
営業時間:11:00~17:00
場所:ngumiti蔵前(ヌグミティクラマエ)東京都墨田区本所1-23-3 2階
都営大江戸線・蔵前駅から徒歩9分/都営浅草線・浅草駅から徒歩11分
詳細はタシロさんインスタグラムから。
〈撮影/星 亘 取材・文/諸根文奈〉
タシロユミコ(たしろ・ゆみこ)
“解体と再構築”をテーマに制作するテキスタイルアーティスト。9号帆布からほどいた糸、染め、手刺繍を軸に作品を展開。また、制作過程から生まれたアイデアをsyuunyaan(シューンヤーン)名義でクッションやバッグなど『暮らしの品』としてプロダクトを手がけている。
インスタグラム@tashiroyumiko_syuunyaan



