(『天然生活』2025年5月号掲載)
植物を育てることで得る、エネルギーといやしのなかで
広告業界で働いたのち1992年に渡英、イングリッシュ・ガーデンに魅了されてガーデンデザイナーに転身した吉谷桂子さん。
イギリスから持ち帰った家具やアートに囲まれたご自宅には、至るところにグリーンが置かれ、伸び伸びと葉を広げています。
切り花も素敵だけれど、もっぱら根の付いた植物が好きで、丸い葉やとがった葉、からまり合った葉などの造形を彫刻的に楽しんでいます。
「剪定した茎も水に挿しておくと、日当たりや温度などの条件がそろえば、根っこが出てきます。新鮮な根を目にすると、ワクワクして、うれしくなっちゃうんです」

暖炉の上は、好きな動物モチーフと植物のコーナー。基本色は白で、サンスベリアやアイビーの緑を加えることで、生き生きした空間に

イギリスから持ち帰ったテーブルを飾り台に。壁に飾っているのも、イギリスで育てたアジサイの押し花

仕事で関わった庭の植物は、思い出を残せるよう一部をドライフラワーに。本棚には造園のアイデアソースの洋書がぎっしり
植物にとっての居心地のよさを最優先で考える
植物は日に当てればいいわけではなく、それぞれ適した場所に置いてあげることが大切です。
朝日がやわらかく入るけれど、日中は日が差さない書斎には耐陰性のあるシダやアイビーを、日光が好きなハーブや乾燥を好むスターチスはベランダにといった具合に、置き場所を工夫。
ここに置いたらインテリアが素敵になるからという視点ではなく、あくまでもグリーンの居心地が優先。というのも敬愛するガーデナー、ベス・チャトーの「植物は動けないのだから、あなたが動かしてあげなさい」という言葉に共感しているからです。

「ここに置いたら絵になると考えたわけではなく、なんとなく集まった」とのことだが、ゴムの木の曲線やゴクラクチョウカの直線など調和した美しさ
「私にとって植物はペットのようなものなので、この場所で喜んでくれているかなぁと観察と対話をしています。元気に育てば私も元気をもらえますし、元気がなければ、よさそうな場所を探します。
同じ部屋でも場所によって環境が変わりますし、そういうセンサーには敏感なほうが植物と暮らすうえでは楽しいと思います」

日があまり入らない書斎にはアイビーとシダの寄せ植えに、バリ島で買った木彫りのプルメリアを飾っている

20年前、引っ越し祝いに贈られたガガイモ科の観葉植物。水やりを忘れても平気で、吉谷家の守り神的存在になっている
〈撮影/柳原久子 取材・文/長谷川未緒〉

吉谷桂子(よしや・けいこ)
広告界でデザイナーとして活躍後、1992年に渡英、本場のガーデニングを学ぶ。帰国後、テレビや雑誌、講演など幅広く活動し、多くの造園を手がける。現在、東京都立代々木公園にて、「ロングライフ・ローメンテナンス」を目標に、実験的要素が含まれた「the cloud」の庭づくりを行っている。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




