暮らしを軽やかにしてくれる、コンポストのある暮らし
「コンポストを始めたいけれど、虫が苦手で……」という声をよく聞きます。残念ながら、「コンポストに虫はいません。大丈夫ですよ」とは申し上げられません。
もちろん、きちんと土をかぶせたり、一度に入れる量を守れば、虫が大量にわいてしまうということはないし、コンポストにもいろいろな種類があるので虫を寄せ付けにくいタイプを選ぶことも可能です。
私はある程度虫が出ても気にならないということと、コンポストにあまり手間をかけたくないのがあって、現在のコンポストを選び、しかも、なかば適当な方法でやり過ごしております(笑)。

わが家のキッチン用のコンポスト「キエーロ」

植物残渣が土となっていく
でも、よく考えてみてください。森の中の亡骸(有機物)である、枯葉や死んだ動物はやがて、ほかの動物や小動物、微生物によって徐々に分解され、土に還っていきます。
私たちのコンポストに投入されるのも同じように有機物ですから、おのずと「分解者」はやってくるもの。むしろ、その分解者に処理をお願いしているのが「コンポスト」なのです。
最終的な分解者である「微生物」は目に見えないほど小さな生物ですが、ミミズや小さな虫の幼虫やトビムシのように目に見えるくらいの大きさの生物も分解者として自然の中で大きな役割を果たしています。
自然界の中で欠かせない「分解者」の働きを日々目の当たりにすると、嫌悪感どころか、私たち人間も小さな虫も共に命をまっとうしている同じ生物として、共感と敬意のような念が生まれてくるのは私だけでしょうか。

枯れ草も大切な有機物

畑の畝間(うねま)も立派なコンポスト。たまった有機物が分解されている
美しい“小さな循環”は生き方までも変えてくれる
私のコンポスト生活は、家庭菜園やフラワーレッスンの残渣の処理をきっかけに始まりました。
キッチンからの生ごみ、暮らしのさまざまな残渣を一手に引き受けてくれ、そこからできた堆肥をまた畑や庭に還すことができるコンポストは、いまではなくてはならない存在です。

菜園で使用しているのはプランターをくり抜いてつくった「畑用移動式コンポスト」
私は最初、暮らしの中でこの循環の輪が回り始めたとき、「なんと美しく、そして軽やかなのだろう!」と感動しました。そう、土や小さな虫や菌などが織りなす営みはとても美しいのです。
コンポストを始める方々からは、「大変だな」よりも、「楽しい」という声が多く聞かれるのもよくわかります。
コンポストを体験することで自然全体の仕組みが見えるようになり、大げさなようですが、社会への関わり方、生き方までもが変わってくるような気がしています。

キエーロからできた堆肥を肥料として使う
環境のためにストレスを抱えないで
エコロジカルな暮らしに取り組む方や興味を持つ方が、だんだんと増えてきたように感じます。私もささやかながら暮らしの中で自分にできることを少しずつ実践し始めていますが、あまり張り切りすぎないよう心がけています。

撮影/山川修一
人はそれぞれ、住む場所、環境、性格、価値観などが異なります。コンポストがやりたくても何らかの理由でできない方もいるでしょう。私もできないことはたくさんあります。無理をしてしまうと自分自身がストレスを抱えてしまいます。
まずは自分にできることや、やってみたいなと思うことを少しだけ試してみればいいのではと思います。
たとえば、「ベランダに小さなコンポストしか置けないので、生ごみ全部ではなく一部だけ入れてみよう」とか、「コンポストはやらないけれど、プランターの古い土を再利用してみようかな」など、ぜひ身近で興味のあることから始めてみてください。

循環からでき上がる野菜たちをおいしくいただきます

さとうゆみこ
フラワー&グリーンスタイリスト。「green & knot」主宰。フラワーショップやインテリアショップ勤務、専門学校の講師を経て、現在はフラワーコーディネイトやグリーンアドバイザーのほか、植物にまつわる幅広いジャンルで活躍。自宅で定期的に行なうフラワーレッスンも好評。都心の家庭菜園で、小さな循環型暮らしを模索中。
インスタグラム:植物のこと @yumikosatooo 畑と土のこと @soillife





