• 現代の野菜に失われた高い栄養素と、劣悪な環境でも育つ力のある雑草は、日々の食材として災害時の貴重な栄養源になります。知っている人にとっては無料で手に入るお宝なのです。そんな雑草を取り入れた「食べられる公園」が東京都心にあります。食べられる公園と雑草の魅力を、雑草料理研究家・前田純さんと公園内のハーブガーデンを企画した渡辺あいさんに聞きました。

    地域の人が育てる「食べられる公園」

    画像: 「豊島区立西巣鴨二丁目公園」の一角の「ぽっぽのお庭」を企画した渡辺あいさん(左)と、雑草料理研究家の前田純さん(右)

    「豊島区立西巣鴨二丁目公園」の一角の「ぽっぽのお庭」を企画した渡辺あいさん(左)と、雑草料理研究家の前田純さん(右)

    東京都心の商店街から一歩入った住宅地にある小さな公園「豊島区立西巣鴨二丁目公園」の一角に「食べられる公園」があります。名前は「ぽっぽのお庭」。小さな通路に沿って置かれたプランターには、よもぎ、カキドオシ、赤じそ、スベリヒユなどの和ハーブや雑草が植えられています。

    「ぽっぽのお庭」は、地域の方たちの「私の庭」になるように「まちあそびラボ巣鴨」のみなさんが育て守っているハーブガーデンです。これを企画し、講師・アドバイザーとして携わってきたのが、Beeslowの渡辺あいさん。

    画像: 「ぽっぽのお庭」。地域の方々が育てている

    「ぽっぽのお庭」。地域の方々が育てている

    「最初はミントを中心としたハーブガーデンでした。でも、一緒に管理に参加してもらいたい地域の方々が、なかなか活用してくれるところまでは行きづらく、話し合いながら少しづつ形を変えてきました」と渡辺さん。

    ミントはよくわからないから、手前の花は育てるけどミントには関わらないというみなさんの反応を受けて、話し合いを行い、和の要素を取り入れることになりました。

    「春に植え付けたのですが、そのときの会話から、和ハーブや在来種の草花に関心を持ってもらっている様子がうかがえました」(渡辺)

    植え付ける草花の選定の相談を受けたのが、雑草料理研究家で京都大学で雑草学を研究していた前田純さんでした。

    知られざる雑草のすごい力

    画像: 「ぽっぽのお庭」で栽培されているスベリヒユ。山形県では野菜としてスーパーで売られている

    「ぽっぽのお庭」で栽培されているスベリヒユ。山形県では野菜としてスーパーで売られている

    「こういう活動があること自体全然知りませんでした」という前田さんは、「ぽっぽのお庭」で渡辺さんと合流すると、植えている和ハーブと雑草の品種ごとの育て方や利用方法、それ以外の公園で見られる雑草について詳しく話し始めました。

    前田さんが渡辺さんに植えるように勧めたのは、カキドオシとスイバでした。雑草は枯れずに育ち、わずかな肥料を与えると爆発的に増えるといいます。

    画像: 「ぽっぽのお庭」で栽培されているカキドオシ

    「ぽっぽのお庭」で栽培されているカキドオシ

    「一応、カキドオシとスイバを選んだ理由も、カキドオシは香りがあって虫が食べにくいからです。また、繁殖力が強いので、虫が食べても食べても増えやすいんです。スイバもその名前のとおり酸っぱいので虫がつきにくい。肥料を与えるとやわらかくなり、食べやすくなります。その肥料っていう考え方はなかなか難しいところなんですけど、それぐらい、雑草って肥料がいらないっていうことでもあるんです」

    前田さんから雑草がもつ吸収力や、少ない栄養でも育つ力について聞き、渡辺さんは雑草という植物の性質をあらためて実感したようです。

    「ガーデナーさんは『こういう肥料を入れた方がいいですよ』とアドバイスしてくれるかもしれませんが、少しの肥料をたくさん吸収する能力のある雑草にとっては実は肥料は不要なので」(前田)


    <お話を伺った方>
    渡辺あい(わたなべ・あい)
    1984年、東京都生まれ。2019年に共同で立ち上げたBeeslowで、都市養蜂、ハーブガーデンづくり、アートプロジェクト、イベント企画、蜂蜜等の商品企画・販売に取り組む。都市における人と植物、ミツバチをはじめとしたポリネーターとの関係づくりを軸に、生物多様性や季節の循環、身近な野生にふれる場づくりと機会創出を行っている。--

    前田 純(まえだ・じゅん)
    1982年8月、石川県生まれ。雑草料理研究家。京都大学農学研究科農学専攻雑草学研究室で雑草学を学び、在学時より、NPOや野外調査等にて雑草を題材として、ダッチオーブンや七輪等を用いて料理を行う。2015年2月に合同会社つむぎてを設立。休耕田や耕作放棄地で無農薬・無化学肥料の雑草を栽培して、食品や化粧品を販売している。


    ▼雑草料理研究家・前田 純さんの記事はこちら

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    『おいしい雑草図鑑』(前田純・著/扶桑社・刊)

    画像: 東京・西巣鴨に「食べられる公園」があった!地域で育てる雑草と和ハーブ。雑草料理研究家が話す、災害時に役立つ意外とおいしい“栄養豊富”な雑草のちから

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    品種改良や栽培法の確立により、野菜がどんどんおいしくなったことであまり目を向けられなくなった「雑草」。

    普段の料理に使えるほか、生薬、災害時の栄養補給としても役立つ植物です。

    かつては一般に食べられていた雑草のおいしさや魅力、活用法を知ることができる1冊。

    【CONTENTS】
    ● 雑草をおいしく食べる基本の調理法
    ● 採取の服装、道具と採取の方法
    ● Part.1 道端・あぜの雑草
    ● Part.2 野原・畑地の雑草
    ● Part.3 荒地・河川敷の雑草
    ● Part.4 水田・湿地・海岸の雑草
    ● Part.5 林縁・林内の雑草
    ● Part.6 毒草



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