伝統技法を現代的に簡単アレンジした「簡易金継ぎ」

割れた器を修復し、金粉などの金属粉で装飾する、金継ぎ。古くから行われてきた伝統技法は、天然素材・本漆を使って接着し、仕上がりの美しさとすぐれた耐久性が魅力です。しかし、漆を工程ごとにじっくりと乾かす必要があるため、完成までに1カ月程度は要します。また初心者には難易度が高く、漆で肌がかぶれてしまう恐れも。
「もっと手軽に金継ぎを行いたいなら、『簡易金継ぎ』の方法をおすすめします」というのは、日本金継ぎ協会の小熊綾さん。
「扱いやすい材料を使うので、作業自体は1時間程度で終わり、乾燥を含めて10日ほどででき上がります。初心者でも気軽に取り組みやすいですよ。『簡易』とは材料や工程を簡略化したという意味で、仕上がりまで簡易というわけではありません。ていねいに作業すれば、本格的な美しさに仕上がります」
食品が触れる器に用いるため、天然素材ではない材料を使うことに不安を感じる人もいるかもしれません。
「2025年に改定された食品衛生法に従って、簡易金継ぎの材料キットにもポジティブリスト制度(安全性が確認された物質のみ使用可能とする制度)に適合する材料が用いられるようになりました」
愛着のある器を手放すことなく、大切に使い続けたい......そう願う人たちに、簡易金継ぎは大いに頼れる選択肢になる、と小熊さん。
今回は、器の割れの簡易金継ぎ法を詳しく追いかけて、解説します。
「金継ぎは、単に器を修復するだけでなくて、新たな美しさを与えることができます。ぜひ試してみてください」
器の欠け・割れ両方の「簡易金継ぎの手順」は『天然生活』2026年8月号(P.76)でも掲載しています。
割れてしまった器を簡易金継ぎで修復する方法
今回修復するのは......
すっぱりと割れてしまった、磁器の茶碗

材料と道具

1.エポキシパテ(金属用) 2.エポキシ接着剤(A剤、B剤) 3.アルコール 4.食品用ラップ 5.耐水紙やすり(#400、#600、#1000) 6.金属やすり 7.マスキングテープ 8.金継ぎ用レジン塗料(A剤、B剤)※ 9.金属粉 10.綿棒 11.筆2種(平筆2号、線描き用#10/0) 12.障子紙用カッターナイフ 13.トレイ 14.へら(竹製など) 15.カッターナイフ
※2025年6月以降の食品衛生法のポジティブリストに適合
A. 断面をやすりがけする
1 破片の断面に金属やすりを縦に45度の角度で当てて削り、接着剤をのせるすき間をつくる。

断面
接着時に一番ずれやすい両端は、各10回ほどやする。

端
2 本体側も同様に削る。

3 アルコールを含ませたペーパーで破片の断面をふき、削りかすや手あかなどを取る。

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〈監修/小熊 綾 撮影/鈴木江実子、山川修一(TOP画像) 取材・文/秋山香織 取材協力/うつわ 御結〉

小熊 綾さん(おぐま・あや)
金継ぎアーティスト。東京・南青山の器ギャラリーのアトリエ「うつわ 御結 HANARE」にて、日本金継ぎ協会主宰の金継ぎワークショップの講師を勤め、国内外の人たちに向けて金継ぎの精神から技術まで広めている。開催日などの情報は、日本金継ぎ協会ホームページ(https://japankintsugi.com/)を参照。





