• ソファでの寝落ち、パートナーと同じベッド、明るすぎる照明……。何気ない日々の習慣が、実は睡眠の質を下げているかもしれません。今日からすぐに実践できる快眠テクニックを、睡眠学の権威である柳沢正史教授に教わりました。寝室を整えて、質の高い眠りを手に入れましょう。
    (『天然生活』2025年8月号掲載)

    睡眠の質を上げる、環境づくり4つ

    暑さやじめじめで寝苦しい、忙しくて睡眠不足、寝ても疲れがとれない……。そんな人に、今日からすぐに実践できる、快眠テクニックを睡眠学の権威である筑波大学教授の柳沢正史先生に教えてもらいました。

    1.睡眠環境を整えて寝る。寝落ちは厳禁

    画像: 1.睡眠環境を整えて寝る。寝落ちは厳禁

    テレビや照明をつけたまま、ソファなどでうたた寝をしてしまった経験のある人は多いはず。寝る準備を整えずに眠りに落ちる「寝落ち」は、体が十分に休まらず、睡眠の質が著しく下がります。

    また、夕方以降に仮眠をすると、睡眠欲求が一時的に解消されてしまうため、夜に眠れなくなるなんてことも。どんなに疲れていても仕事帰りの電車やバスで寝るのは避けましょう。

    入浴中のうたた寝は、溺れたり脱水を引き起こす危険もあります。頻繁に寝てしまうならいまより早く就寝して、本来の睡眠時間を増やすなど対策を。

    2.パートナーとはベッドを別々に

    画像: 2.パートナーとはベッドを別々に

    寝具の好みや快適に感じる室温は人それぞれ。パートナーと同じ部屋で寝る場合は、大きなひとつのベッドと掛け寝具ではなく、シングルベッドをふたつ並べて使うのがおすすめです。

    自分好みのマットレスや掛け寝具が選べ、相手が寝返りしたときの振動も軽減されて、よく眠れるはず。ベッドを分けるのが難しければ、掛け寝具だけでも別々にすると、各自が体温調節しやすくなります。

    また、親と同じベッドで寝ている子どもは、安定した睡眠環境を維持しにくい傾向が。同室で寝る場合でも、幼い頃からベッドは別々にしましょう。

    3.寝室は余計な音がしない静かな環境に

    画像: 3.寝室は余計な音がしない静かな環境に

    人間の聴覚は、睡眠中も働きつづけ、騒々しい環境では深い眠りが妨げられます。人の話し声には覚醒作用があり、眠っている家族がいるときは、会話のボリュームを下げる配慮が必要です。

    車の走行音などの外からの騒音には、二重窓や遮音カーテン、耳栓の活用のほか、耳障りな音をかき消すホワイトノイズを流すなどの対策も有効です。

    寝室を共にするパートナーに、大きないびきや睡眠時無呼吸症候群がある場合、気になって眠れないでしょう。受診を勧め、寝室を分ける選択も考慮に。

    ※ヘッドボードに置かれた白い装置は、ホワイトノイズを出す機器で「ホワイトノイズマシン」

    4.夜の照明は「雰囲気のいいレストラン」

    画像: 4.夜の照明は「雰囲気のいいレストラン」

    夜になっても、明るすぎる環境で過ごすと、体が眠りに入る準備を整えられなくなります。とくに青白い色の光は要注意。体内時計を遅らせ、メラトニンの分泌を抑制してしまうのです。

    夜間の家の照明は電球色を使い、「雰囲気のいいレストラン」のような薄暗く感じる程度の明るさが理想。100ルクス以下が目安です。

    遅くても、メラトニンが分泌され始める夜9〜11時には、リビングも寝室も薄暗い環境に。照明は下からあてたほうが、メラトニンが抑制されにくいというデータもあります。床置きの間接照明を取り入れてみてください。



    〈監修/柳沢正史 取材・文/熊坂麻美 イラスト/芳野〉

    柳沢正史(やなぎさわ・まさし)
    筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授、医学博士。31歳で渡米し、24年間にわたり米国で研究室を主宰。睡眠を制御する「オレキシン」の発見者。米国科学アカデミー正会員。紫綬褒章、朝日賞、文化功労者、ブレークスルー賞など受賞多数。『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)監修。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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