(『天然生活』2025年8月号掲載)
睡眠前に注意したい、4つの習慣
暑さやじめじめで寝苦しい、忙しくて睡眠不足、寝ても疲れがとれない……。そんな人に、今日からすぐに実践できる、快眠テクニックを睡眠学の権威である筑波大学教授の柳沢正史先生に教えてもらいました。
1.寝酒は禁物。飲酒は就寝4時間前までに

寝酒を習慣にしている人は、すぐにやめましょう。アルコールには催眠作用があり、寝つきはよくなりますが、睡眠の質は大幅に悪化します。
ノンレム睡眠、レム睡眠どちらも減少し、アルコールの利尿作用や代謝物の影響で中途覚醒しやすく、舌や喉の筋肉が弛緩することで、いびきや無呼吸の原因にも。
お酒は夕食と一緒に楽しみ、寝る4時間前までに切り上げるのが理想です。そうすれば、寝るまでにアルコールが代謝されます。睡眠に大きく影響しない飲酒量は、ビールなら500mL、ワインならグラス2杯、日本酒なら1合程度を目安に。
2.就寝前のスマホは見る内容に注意

スマホやタブレットを就寝前に使うときは工夫が必要です。画面が発するブルーライトは覚醒作用があるため、夜間は画面が暖色系の光になる「ナイトモード」に設定を。そして、操作や閲覧の内容も限定しましょう。
SNSのやり取りやゲームなどの頭を使って能動的に操作するもの、次々におすすめが表示されるショート動画などは、脳を刺激して目が冴えてしまうため、絶対に避けるべきです。
就寝前は、美しい景色やいやされる動物の動画、エッセイや小説などのリラックスできたり、眠くなりやすいコンテンツを選ぶと、入眠儀式にもなります。
3.眠れないときは15秒呼吸法をトライ

布団に入ってなかなか寝つけないときは、「15秒呼吸法」を試してみましょう。7〜8秒かけて鼻から息を吸っておなかを膨らませ、7〜8秒かけてゆっくり息を吐きます。心拍に意識を向けて深呼吸を繰り返すうちに、副交感神経が優位になり心身がゆるんで眠気を誘います。
それでも10〜15分以上眠れない場合は、潔く布団から出るのが正解です。ストレッチをしたり読書をしたり、眠気が訪れるまで穏やかに過ごしましょう。眠れずに悶々としながら布団にいつづけると、脳が「寝床=眠れない場所」と認識して、不眠症につながる恐れも。
4.寝る前は軽いストレッチがおすすめ

夜に運動をする習慣のある人は、就寝の2時間前までには終わらせましょう。運動で上がった深部体温が徐々に下がっていくことで自然な眠気が訪れます。ただし、昼間のように明るいジムで運動をしたり、負荷の高いトレーニングをしたりすると、交感神経が刺激されて眠気を妨げる可能性があります。
寝る前の運動でおすすめなのは、軽いストレッチです。体がほぐれてリラックスできるうえ、血行が促進されて体中に酸素や栄養がいきわたります。これにより疲労が回復し、睡眠の質を上げる効果も期待できます。
〈監修/柳沢正史 取材・文/熊坂麻美 イラスト/芳野〉
柳沢正史(やなぎさわ・まさし)
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・教授、医学博士。31歳で渡米し、24年間にわたり米国で研究室を主宰。睡眠を制御する「オレキシン」の発見者。米国科学アカデミー正会員。紫綬褒章、朝日賞、文化功労者、ブレークスルー賞など受賞多数。『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)監修。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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