• 生きづらさを抱えながら、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていた咲セリさん。不治の病を抱える1匹の猫と出会い、その人生が少しずつ、変化していきます。生きづらい世界のなかで、猫が教えてくれたこと。猫と人がともに支えあって生きる、ひとつの物語が始まります。「猫がいるのに、きれいにしてるんやな」。父のひと言をきっかけに、10匹の保護猫と暮らすなかで気づいたことを振り返ります。

    猫と仲よく過ごすための、わが家のマイルール

    叱る前に、まず環境を見直す

    爪とぎ、トイレ、寝床、隠れ場所など、猫が安心して使えるものが足りているかを確認します。

    爪とぎは「置けばいい」ではなく「使いたい場所」に置く

    猫がよく通る場所、寝起きの場所、壁で爪を研ぎたがる場所の近くに置くと使ってくれやすくなります。

    トイレは猫の数に合わせて、清潔に保つ

    多頭飼いの場合はとくに、トイレの数や場所がストレスになります。落ち着いて入れる場所に、余裕を持って用意します。

    鳴く、走る、いたずらする理由を考える

    退屈、空腹、甘えたい、不安、トイレの不満など、猫なりの理由があることも多いものです。

    「だめ」を教えるより「こっちならいいよ」を用意する

    登ってほしくない場所があるなら、登っていい場所(キャットタワーなど)を。かんでほしくないものがあるなら、遊べるおもちゃを用意します。

    猫の性格に合わせる

    甘えん坊の子、怖がりの子、ひとりが好きな子。みんな同じ方法ではなく、その子に合った距離感を大切にします。

    失敗しても、猫のせいにしすぎない

    困った行動は、猫からのサインかもしれません。責めるより、何を変えれば楽になるかを考えてみます。

    人間も完璧を目指しすぎない

    猫との暮らしは、毎日の小さな調整の積み重ねです。失敗しながら、少しずつ一緒に暮らしやすい家をつくっていけば大丈夫です。

     

    父に「猫がいるのにきれい」といわれた日、私は少し誇らしい気持ちになりました。

    でもそれは、私たちが猫をうまく育てたからではありません。むしろ、猫たちに育ててもらったのだと。

    猫と暮らすことは、猫をしつけることではなく、猫のことを知っていくこと。そして、猫を知るほどに、人間の暮らしも、少しやさしく整っていくのだと、今日もまた猫たちに感謝するのです。

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    画像: 人間も完璧を目指しすぎない

    咲セリ(さき・せり)
    1979年生まれ、大阪在住。作家、家族療法カウンセラー。夫と10匹の元保護猫と暮らす。心の病や生きづらさを抱えるなか、不治の病をもつ一匹の猫との出会いをきっかけに、「命は、生きているだけで愛おしい」ということを知る。以来、自身の体験や猫たちとの暮らしを通して、生きづらさのなかにある小さな希望を、ノンフィクションや小説、エッセイに綴っている。NHKの福祉番組への出演、新聞やウェブでの連載、全国での講演などでも活動。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日』(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司氏との共著『絆の病――境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました――妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房)、『息を吸うたび、希望を吐くように――猫がつないだ命の物語』(青土社)など。2026年8月に、新刊『絶滅するまで営業中』(田畑書店)を発刊予定。

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