ひと鉢ずつではなく、ひとつの景色として考える
植物を飾り始めたころの私は、ひと鉢ずつきれいに見えるように並べようとしていました。
けれど、植物が増えるにつれて、いくつかの小さなまとまりとして考えたほうが、自然な景色になることに気づきました。
背の高い植物の足元に、小さな鉢を添える。
細かな葉のそばに、大きな葉の植物を置く。
植物同士の高さや葉の形が異なることで、緑の濃淡やリズムが生まれます。
後ろに置いた植物が、手前の葉の間から少しだけのぞく。
その先にも緑の景色が続いているように見えると、思わず奥をのぞき込みたくなります。

右手前の、グリーンに囲まれた台の上は、多肉植物のコーナーに。その奥には何があるのかな......と、のぞき込んでみたくなるような景色になっていたらうれしいです
すべてを見せきらず、少しだけ想像できる余地を残す。
そんな景色がつくれたら、大成功です。
配置したあとは、ときどき部屋の中へ戻り、いつも過ごす場所から眺めてみます。
ベランダに立っているときには気づかなかった葉の重なりが見え、鉢を少し動かすだけで、全体がより自然にまとまることがあります。
植物の間に、風の通り道をつくる
植物の置き方を考えるときは、見た目だけでなく、風の流れも大切にしています。
鉢を密集させず、葉と葉の間に空間を残すことで、風が通りやすくなります。
風通しは蒸れを防ぎ、植物が健やかに育つためにも欠かせません。
植物を育てることが楽しくなると、ついつい鉢を増やしたくなります。
けれど、人が歩いたり、水やりや掃除をしたりできる余白を残しておくことも、心地よいベランダをつくるためには大切です。

眺めたときには、緑がひとつにつながって見えるようにしつつ、ひと鉢ずつには余白を残すのも忘れません。葉の間を風が通り抜ける、心地よい景色になりました
風が通ると、葉やつるがその流れに身を任せ、静かに揺れ始めます。
目には見えない風の存在を、植物の動きが教えてくれる......。
その様子を眺めていると、ベランダがただ植物を並べた場所ではなく、自然の気配が宿る小さなお庭になったように感じます。
昔から、美しい自然を表す「花鳥風月」という言葉があります。
花や鳥、月と同じように、目には見えない風にも、心に届く美しさがあるのでしょう。
葉が揺れ、光が動き、植物の表情が少しずつ変わっていく。
そんな風を感じる景色も、私がベランダガーデンを好きな理由のひとつです。

室内から眺めたベランダ。窓枠を額縁に見立て、奥の板壁や左右の植物が、一枚の絵のように見える配置を意識しています
鉢をひとつ動かすことから
ベランダの景色を変えるために、新しい植物や道具をたくさん用意する必要はありません。
まずは、いまある鉢をひとつ、少し高い場所へ移してみる。
背の高い植物と、小さな植物を近くに置いてみる。
葉と葉の間に、風が通る余白をつくってみる。
それだけでも、これまで気づかなかった葉の表情や、光と風の動きが見えてくるかもしれません。
鉢を置いては眺め、また少し動かしてみる。
そんな小さな試行錯誤も、自分だけの景色を育てていくベランダガーデンの楽しみなのだと思います。
<写真・文/RIKA>
RIKA/「みどりの雑貨屋」コーディネーター
関西に店舗を展開する、植物とそれに似合う雑貨のお店「みどりの雑貨屋」でブランドストーリーの企画や発信を担当。自宅マンションでは、ベランダガーデニングやDIYを楽しみながら、心地よいグリーンのある暮らしを実践。植物と鉢、雑貨を組み合わせた“みどりのある心豊かな暮らし”をSNSで提案している。
インスタグラム:@skipkibun_rika
「みどりの雑貨屋」公式サイト:midorinozakkaya.com
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